具体的な老後の生活費を考える

それでは、現在の年金受給世代を参考に、老後の生活資金について考えてみましょう。公的年金の受給額や老後の生活費について各種データをご紹介します。

(1)収入部分:年金受給額の例

まず、年金受給額の例については上述(同※4)の通り、

  • 国民年金(満額受給者)…1人あたり月額6万5008円
  • 厚生年金の「モデル世帯(無職夫婦世帯)」…月額22万1504円

厚生年金の「モデル世帯」は、「夫が平均月収(42万8000円、年収ベースで約513万円)で40年間就業、妻は専業主婦であった世帯」を仮定して算出されています。国民年金の場合は、現役時代の収入に関わらず、年金加入月数により一律となります。個人の年金額は、加入実績により異なります。

(2)支出部分:高齢世帯の生活費

次に生活費のデータを見てみましょう。生命保険文化センターが2019年9月20日に発表した調査結果(※6)によると、公的年金給付のみの無職の高齢夫婦世帯の生活費は

  • 「最低日常生活費」の平均額…月額22万1000円

となっています。

(3)収入-支出の差は?

(1)(2)を比較すると、厚生年金の「モデル世帯(夫婦二人:月額22万1504円)」であれば、「最低日常生活費(夫婦二人:月額22万1000円)」を賄えるように見えますが、この金額が最低限度の生活費のデータであることに注意しましょう。同調査結果によると、

  • 「ゆとりのある生活費」の場合の平均額…月額36万1000円

というデータもあります。つまり、夫婦二人分で毎月プラス14万円が目安となるのです。一年間に必要な生活費は、最低限度のケースで約270万円、ゆとりのあるケースで約430万円となります。