株式市場の振り返り-円高進行と材料難で低調な動き、日経平均株価は安値引け

2016年8月2日(火)の東京株式市場は弱い動きとなりました。日経平均株価は前日比▲1.5%下落する反落となり、TOPIXは▲1.6%下落する続落で引けています。一方、新興株式市場の東証マザーズ総合指数は+2.0%上昇して3日続伸となりました。

日経平均株価は、前日比▲166円安で寄り付きましたが、その後は下げ幅を縮小して前場の終盤には一時▲93円安まで盛り返しました。しかし、後場に入ってから再び売りが優勢となり下げ幅を拡大し、大引けは▲244円安の16,391円でした。久しぶりに安値引けで終わっています。

東証1部で上昇したのは411銘柄、値下がり1,459銘柄、変わらず100銘柄でした。東証1部の出来高は19億7,429万株、売買代金は2兆807億円(概算)となっています。商いがやや低調になったことが気掛かりです。

セクター動向と主要銘柄の動き-33業種全てが下落、主力株はソフトバンクGの健闘が光る

東証1部の33業種全てが下落しました。全体的に見ると、下落率トップとなった銀行を始めとする金融関連セクターが弱い動きとなったことが特徴ですが、内需関連や輸出関連も下げが目立っています。一方、下落したものの、情報通信セクターや小売りセクター等が健闘したと言えます。

個別銘柄では、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が▲5%超の大幅反落となり、りそなホールディングス(8308)も大きく値を下げました。また、ファーストリティリング(9983)、ファナック(6954)、KDDI(9433)、TDK(6762)など、前日に上昇した指数寄与度の高い銘柄が軒並み下落しました。一方、前日に指数上昇に寄与した銘柄の中では唯一、ソフトバンクグループ(9984)のみ大きく値を上げています。その他、前日に決算発表を行ったキーエンス(6861)が大幅上昇となり、ファミリーマート(8028)も堅調に推移し、ともに年初来高値を更新しました。

東証マザーズ市場の動き-依然厳しい薄商いの中で総合指数は久しぶりの3連騰

東証マザーズ総合指数は、寄り付きからプラス圏で上値を追い始め、後場は高値圏で推移して終わりました。結局、連日の+2%超の上昇となり、本当に久しぶりの3日続伸となりました。大型株市場が不振だった分、好調が目立ったと言えます。なお、出来高は4,140万株、売買代金は789億円となり、いずれも前日より増加しましたが、依然として低水準です。騰落は、値上がりが140銘柄、値下がりは73銘柄、変わらず9銘柄でした。閑散相場を打破する物色テーマの登場が待たれます。

個別銘柄では、そーせいグループ(4565)が連日で大幅高となり、グリーンペプタイド(4594)、サンバイオ(4592)、ヘリオス(4593)などの医療バイオ関連銘柄が値をあげました。ただ、前日同様にアキュセラ(4589)のみが下落しています。また、時価総額の大きいCYBERDYNE(7779)、ミクシィ(2121)はともに堅調な値動きとなりました。その他では、ブランジスタ(6176)、グローバルウェイ(3936)などが値を飛ばしているのが目立ちました。しかし、その他には特に目立った動きは見られず、未だ新興市場らしからぬ相場が続いているようです。

本日(8月3日)の注目点-円高進行の一巡は期待し難い中、増加する決算発表に注目

先週末、日銀が曲がりなりにも追加金融緩和策を発表したにも拘らず、円高進行に一巡感が出ていません。それに伴い、株価も軟調な動きが続いており、短期的には少し嫌な雰囲気が強まっています。3日(水)も、円高進行の一巡感は期待し難いようであり、株式相場の弱い動きが予想されます。また、決算発表以外では目立った材料もないことから、様子見スタンスが支配的になる可能性が高いと考えます。

ただ、冷静に考えると、日銀の講じる6兆円のETF買いは、相応の効果が期待できます。6兆円という金額は決して小さくはなく、この効果は8月2週目(来週)から出てくると見ていいでしょう。また、3日からはQ1決算発表がさらに増加してくるため、相場全体の活気が急速に減退する懸念は小さいとみられます。電機セクター、小売セクター、資本財セクターに引き続き注目でしょうか。

新興市場は大きな流れに変わりはありません。しかし、円高がさらに進行すると、一時避難的な動きを含めて、新興市場への資金流入が増加する可能性があります。2日の新興市場にやや強い動きが見られたのは、その前兆かもしれません。新興市場の銘柄の決算動向と合わせて、注目し始めていい時期と言えましょう。

青山 諭志