人生100年時代とも言われる昨今。今まで頑張った分、「定年後は趣味に没頭したい」、「のんびり田舎暮らししたい」など、夢や希望を抱く人も多いのではないでしょうか。
昨年、「老後2000万円問題」が話題になりました。豊かな老後生活を送るためには、お金の準備が欠かせません。特に老後の生活の基盤となる退職金に関しては、その活用方法をよく検討する必要があります。
今回は、老後の大切な生活費となる、この退職金について、どのように運用すればよいか、お伝えしたいと思います。
退職金の現状
退職金は公的年金と並び、老後の生活資金を賄う大切なお金です。このことに異論を挟む人はいないでしょう。
生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」によれば、「老後の生活資金をまかなう手段」として、「公的年金」を挙げている人は87.5%、「退職金・企業年金」は40.5%にのぼります。
しかし、退職金や公的年金は、そのままにしておいて増えるお金ではありません。つまり、取り崩していくお金であり、増えることなく、年々減っていくお金と言えます。
お金を増やすには、多少のリスクを伴いますが、この「リスクを伴う商品を含む金融商品」を老後の生活資金に活かしている人は、どれくらいいるのでしょうか。
下記の金融商品で老後の生活資金をまかなっている人の割合
- 個人年金保険・・・33.3%
- 生命保険・・・12.7%
- 有価証券・・・7.5%
- 損保系年金型商品・・・4.2%
高齢者世帯における所得構成
- 公的年金、恩給・・・66.3%
- 稼働所得・・・22.3%
- 仕送り・企業年金・個人年金・その他の所得・・・5.4%
- 財産所得・・・5.3%
- その他・・・0.8%
現状、3人に1人が個人年金保険を活用しており、有価証券である株式、債券、投資信託などの活用に至っては、10%にも満たないことがわかります。
また、所得に占める運用商品の割合は極めて低く、大勢の人が公的年金や退職金の
取り崩しで生計を立てていることがわかります。
退職金は「4%ルール」で運用
みなさんは「4%ルール」をご存知でしょうか。
「4%ルール」とは、1998年に米国のトリニティ大学で発表された、資産運用に関する論文(Trinity Study)で提唱されたルールのことを指します。ルールの詳細は下記の通りです。
- 資産は株式と債券の組み合わせで保有する
- 資産の4%を毎年生活費として引き出す
約20年前の学説ではありますが、現在でも通用する資産運用の手法として、米国はもとより、日本でも注目されています。
上記の方法で運用を継続すると、自分が亡くなるまで、つまり20年後30年後でも、資産は枯渇することはなく、むしろ資産は増加したという結果が報告されています。
本来であれば、投資や運用の経験は、リスクが取りやすい若い頃から始めておき、経験を積んでおくことが理想です。
しかしながら、寿命が延びている昨今でも、65歳の平均余命は男性で約20年、女性で約24年ありますから、決して定年後の長期運用を諦める必要はありません。
定年後でも長期投資は可能ですし、仮に年3%の運用が叶えば、24年で資産は倍になります。つまり、60歳で運用を始めたとしても、資産が増える可能性は多いにあるのです。
退職金は「債券」と「株」で運用
上記の「4%ルール」で定められているように債券と株式での退職金運用はぜひ、検討していただきたいところです。
我々の公的年金も、この債券と株式の運用を行っています。
公的年金は日本株式、日本債券、海外株式、海外債券を25%ずつ保有し、年3%前後のリターンを得ています。身近なところで実践されている運用方法だと安心できますね。
しかも、この公的年金の運用方法は安全性を何よりも重視しているため、かなり保守的なポートフォリオが組まれています。
しかし、安全性が重視されているがゆえに、中には投資効率を優先させているとは言い難い、非効率なポートフォリオと考える人もいるでしょう。私達はこれを真似する必要はありません。
特に日本債券、日本株式はポートフォリオから外したほうが良いでしょう。日本は低金利、低成長国ですから、債券や株式を保有しても、大きく増える可能性が低いのです。
定年以降に運用を開始する注意点
今まで運用や投資を経験されていない人は、いきなり退職金で運用するのには抵抗があるかと思います。
できれば、頼れる専門家に相談し、運用を始める前や、途中経過を相談しながら運用を行う方がいいでしょう。
また、「退職金プラン」と名の付く商品は注意が必要です。定期預金の金利を高くして、預入期間を3ヶ月、半年で設定し、投資商品と組み合わせて販売するプランが多くあります。
一緒に購入する投資信託は、インデックス系の商品が除かれていることもあり、顧客にとって選択肢が少なく、購入したところで恩恵を受ける可能性が少ない場合もあります。
その時々の流行の投信商品を買ってしまい、回復の可能性が低い市場に投資をしてしまっては元も子もありません。
できれば、知識の豊富なアドバイザーに相談してから投資を始めるのが懸命です。
まとめにかえて
退職金の平均額は、年々減少傾向にあります。また、人口の減少や社会保障の負担増で、今後、公的な保障や支給条件が現状通りという可能性ばかりとは言えません。
iDeCoやNISAの関心が高まっているのは、そのような社会背景をみなさん、感じ取っているからかもしれませんね。
運用を成功させるためには時間が必要です。あれこれ考えていると大切な収益の機会を逃してしまうことにも繋がります。信頼できる専門家と共に、ぜひこの機会に投資について考えてみたいことです。
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参考資料
- オリックス生命保険株式会社/オリックス生命のデータファイル(リーフレット)/2020年3月作成
- Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard and Daniel T. Walz, “Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable”