キュレーターから読者に伝えたいポイント

今週の日本の株式市場は、ポケモノミクス相場が一服した一方で、景気対策や日銀の金融政策に関するニュースに関心が向かっています。ただし、内容はこれまで語り尽くされてきたものばかりで新味はなく、政策期待相場は不発で終わる可能性が高いと言わざるを得ません。

とはいえ、業績相場への移行の兆しがあることや、リオ五輪というビッグイベントがあることなどから、サマーラリーが起こる可能性もあることは頭の片隅に入れておきたいと思います。

政策頼みで株を買ってはいけない

最近の株式市場では、景気対策についての”真水”(公共投資や減税など実際の財政出動をともなう金額)の大小に関心が集まっています。

ただし、そもそも財源に限りがあることや、人手不足等により公共投資の拡大には限界があることなどを考慮すると、短期的には株式市場にポジティブなニュースになる可能性があるとしても、これが本当に日本の将来にとって良いことなのか、という疑問は払拭できません。

また、金融緩和にも根強い期待があります。しかし、1)マイナス金利の深堀りは年金債務の拡大や金融機関の収益悪化を招く要因となる、2)日銀による国債買取額の増額で国債の流動性の低下がさらに深刻なものになる、3)ETFやREITの買い増しでは金融緩和効果は限定的である、といった理由から、効果は限定的であることを留意すべきでしょう。

とはいえ、今年は“夏枯れ”になる、ということではありません。以下の記事にあるように、「米国で半導体関連株が上昇、日本でも景気敏感株が上昇」してきたという変化には大いに注目したいと思います。

出所:経済対策めぐり波乱 米利上げなし SOX指数上昇(楽天証券)

オリンピック関連に注目

さて、いよいよ8月5日からブラジルのリオデジャネイロで夏季オリンピックが開催されます。衛生面や治安等などで不安材料が多いと伝えられていますが、ラテンの国柄であることを考慮すると、いざ”お祭り”が始まってしまうと意外に大きく盛り上がる可能性もあるのではないでしょうか。いずれにせよ、事前の報道だけに囚われてしまう思い込みは避けたいところです。

ちなみに、次の記事にあるように、スポーツ関連には長期的に高いパフォーマンスを示してきた銘柄が多くあります。相場が政策期待から業績へと重心を移しつつある中で、オリンピックを契機に、こうした銘柄の研究を始めることをお勧めしたいと思います。

出所:リオオリンピック関連銘柄の株価はスポーツよりも熱い(株1)

中国の変化にも注目

1年前の夏は、中国の景気悪化や上海株式市場の暴落が大きな関心事となりました。しかし、最近はほとんど「攪乱要因」としての中国の話題は影を潜めています。むしろ、ファナック(6954)のように、中国向け需要が想定よりも良かったことで業績予想の上方修正を行った企業があることが話題になるくらいです。

もちろん、景気拡大策がインフラ投資に偏重していることや、地方政府で債券発行が急増しているなど、気がかりな材料が全く無いわけではありません。

とはいえ、この記事で指摘されているように、2016年後半は、長江下流の洪水の復興投資などが見込まれることや、金融緩和の寄与により2016年通年での経済成長率は6.5%~7.0%と、世界平均を大きく上回る成長率が達成される可能性が高まってきたことから、短期的には中国関連にも注目したいと思います。

出所:中国GDP、数字の裏で見るべきもの(ピクテ投信投資顧問)
 

LIMO編集部