筆者は、一般NISAからつみたてNISAに乗り換えましたが、理由は上記4と5のミックスです。一般NISAは非課税枠上限が引き上げられたり(毎年100万円→120万円)、制度自体2023年までと短かったりと、使い勝手が悪かったからです。

つみたてNISAであれば所定の投資信託で毎月のつみたて額をセットしておけば、金融機関(ネット証券)が自動的に年間40万円の枠内で自動的に購入してくれます。

非課税枠をもっと活用しよう

いずれにしても、せっかく非課税制度が利用できるのにもかかわらず、一般NISAもつみたてNISAも利用者が半分以下というのは何らかの問題があると思います。金融庁の当該レポートでは、次回からぜひ、口座を利用していない理由や金融機関種類別の非稼働率を開示してほしいものです。

加えて、金融機関の担当者でさえ、いずれかのNISA口座を利用していない可能性もあります。あまり知られていませんが、昨今のコンプライアンス上の要請で、銀行や証券会社の社員は株式や投資信託の購入に対し一定の制限がかかり、実質的に売買できない場合がほとんどです。

本来、お客さんにアドバイスをしなければならない金融機関担当者が資産運用できなければ、彼らにプロとしての意見を求めるのは難しいかもしれません。

ことほどさように、非課税口座でさえその半分以上が使われていないというのはかなりショッキングです。しかしながら、逆説的にはNISAの中身をしっかり理解してうまく非課税枠を利用すれば、それなりの資産形成ができるチャンスが目の前に転がっているということです。

金融リテラシー云々もありますが、要するに自分のお金をどうすれば増えるのかを真剣に考えれば、自ずと資産形成方法は見えてきます。

ということで、個人的にはNISA枠は目一杯使うべきと考えます。なぜなら、「使われない非課税枠なら撤廃!」と、いつ金融庁が言い出すかわかりませんから。

太田 創(一般社団法人日本つみたて投資協会 代表理事)