いったい何のために少額投資(年間最大40万円)で20年間も積立できるつみたてNISA口座を開設したのでしょうか。そもそも、NISA口座は複数の金融機関に重複開設できない上に、一般NISAもしくはつみたてNISAかの選択制ですから、つみたてNISA口座につみたて額がゼロということは非課税口座での投資をする気がないということです。

口座開設までしたのに、つみたてNISAを利用しなのは非課税口座そのものを使わないことですから、能動的に口座開設したとは思えません。銀行か証券会社かに頼まれて口座開設だけして、あとは放ったらかしなのかもしれません。いずれにせよ、節税という観点では、かなりもったいない経済行動です。

他方、一般NISAの稼働率を見ると、状況は似たようなものです。稼働率は44%、口座内に運用資金がゼロである口座の非稼働率は56%と、半分以上は“口座を開けただけ”状態で使われていないのです。

いずれの非課税口座も利用しないのには、それなりの理由があるはずです。しかしながら、なぜか金融庁のレポートではその理由についての記載はありません。そこで、筆者がその理由を考えてみました。

NISA口座(つみたて/一般)を使わない理由を推測(順不同)

  1. 運用資金がない:もともと投資する資金がないので放ったらかしにしてある。お金はないけど、なぜかノリで口座開設してしまった。
  2. 金融機関との付き合いで口座開設した:NISAの内容は知らず、特段利用するつもりもなかったが、金融機関に勧められて開設。現在は放ったらかし。
  3. 適切な金融商品がなかった:NISA口座を開設して投資する予定だったが、考えていたような金融商品がなかった。金融機関によりNISA対象金融商品が異なることは後で知った。
  4. NISA枠の上限管理が煩雑:一般NISAの口座枠(年間120万円)を毎年管理するのが面倒。
  5. 運用期間が長すぎるつみたてNISA/制度自体が短命な一般NISA:つみたてNISAはつみたて期間が最長20年と長すぎると感じる一方で、一般NISAは2023年までと制度自体が短命。運用後非課税メリットが享受できるかどうか不明。
  6. 上記1〜5以外の理由または重複理由。