10年間で20億個を出荷

 これら取り組みはiPadやApple Watchにも展開されており、アップルは自社製品向けに独自の半導体を搭載する傾向を強めていった。同社は過去10年間で累計20億個のプロセッサーを出荷。さらに、CPUだけでなく、電源管理ICなどの他のデバイスでも内製化を推進しており、最終セットメーカーにおける垂直統合トレンドの旗振り役であったといっても良い。こうした流れのなかで、Mac向けCPUの内製化についても時間の問題と見られていた。

 ただ、iPhoneやiPadに搭載しているARM系SoCと異なり、パソコンには高いパフォーマンスが求められるなど、性能要求が若干異なる。そのため、06年からインテル製CPUを採用(それ以前はPower PC)しており、他のモバイル機器に比べて、内製化のハードルは高いと見られていた。アップルもMac向けのCPUは10年以上開発を進めてきたとしており、長い年月を要したことがわかる。

20年末の出荷を予定

 今回、WWDCでついに発表された独自のCPU「Apple Silicon」を搭載したMacの出荷は20年末を予定。インテル製CPUからの移行期間はおよそ2年としており、その間はインテル製CPU搭載品のOSサポートなども引き続き行っていく方針。

最初の世代は7nmプロセスを採用する見通し

 Apple Siliconの製造は引き続きTSMCが担うものと見られている。スペックなどの詳細は明らかにされていないものの、第1世代の製品はTSMCの7nmプロセスを活用、ダイサイズは150mm2前後が想定される。パッケージはiPhone/iPadのようなファンアウト型(InFO)ではなく、サブストレートを使ったFCBGA(Flip Chip Ball Grid Array)を採用。台湾基板大手のUnimicron Technologyの1社供給になるとみられている。