米マイクロンテクノロジー(アイダホ州ボイジ)の2020年度第4四半期(6~8月)業績見通しは、売上高が57.5億~62.5億ドル(中心値は前四半期比11%増)と2四半期連続で2桁台の増収をなる見込み。データセンター(DC)およびゲーム機向けのメモリー需要が牽引材料となる。
ファーウェイ規制の影響が表面化
メモリー市況が悪化した19年以降、四半期ベースの売上高は減少傾向にあったが、20年度第1四半期(19年12月~20年2月)を起点に回復基調にある。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界規模でWork from Homeなどの取り組みが進んだことで、DC需要が拡大。クラウド向けのDRAMおよびNANDの需要が引き続き旺盛だという。また、年末にかけて次世代機が市場投入されるゲーム機向けも、GDDRを中心に業績拡大のドライバーとなりそうだ。
一方、スマートフォン向けは、販売台数は回復しているものの、中国ファーウェイに対する規制の影響が出始めているとして警戒感を示した。また、新型コロナの第2波をはじめ、マクロ景気に対する不透明感が強まっていることや、顧客在庫の動向を見通すことが難しくなっているなどのリスク要因もあり、引き続き市況を注視していく考え。
第3四半期(3~5月)実績は、売上高が54.4億ドル(前四半期比13%増/前年同期比14%増)、営業利益率が18%(同6.7ポイント増/同5.2ポイント減)となり、売上高は従来予想(46億~52億ドル)の上限を若干上回った。
DRAM単価、1年半ぶりに上昇
売上高の66%を占めたDRAMは、ビット出荷が前四半期比10%増となったほか、平均単価(ASP)も同1桁台後半の増加を記録。ASPはおよそ1年半ぶりに上昇した。なお、DRAMの生産量のうち、1Ynmと1Znmが全体の50%以上を占めているほか、21年度に次世代の1anmへの移行を図っていく。
売上高の31%を占めたNANDはビット出荷、ASPともに同1桁台前半の増加。売上高は前四半期比50%増と大きく伸長した。3D-NANDにおいては、RG(Replacement Gate)方式への移行を進めており、最初の世代である128層品の量産を第3四半期から開始。直近では顧客への出荷も開始したという。
設備投資は20年度通期で80億ドルを計画しており、第3四半期までの9カ月累計で58億ドルの投資を実施している。20年度投資のうち、前工程装置への投資は従来計画どおり、前年度で4割超減少させるものの、建屋ならびに後工程分野へ投資は増加する。なお、21年度投資は前年度比で増加する見通しだが、新型コロナ以前の計画からは大きく減少する見通しだという。
電子デバイス産業新聞 副編集長 稲葉 雅巳