無料FP相談サイト「マネードクター」を運営する株式会社FPパートナーは、2月26日に「人生100年時代の“お金”に関する最新意識調査(対象:20~59歳の社会人男女1,500人に調査)」を発表しています。
今回は、この調査の結果を紹介するとともに、資産づくり・資産運用に関する注意点をお伝えします。
みんなのお金に関する不安とは?
まずは「人生100年時代の“お金”に関する最新意識調査」から、お金に関する不安や資産運用の状況を見ていきましょう。
①25%強が「貯金100万円未満」
同調査で「あなたの貯金額はいくらですか?」という問いには、25.9%(4人に1人)が100万未満と答えています。また、300万円未満までで49.2%(2人に1人)となるなど、多くの人が貯金を十分にできていない状況だということがうかがえます。
現在の日本は給料が伸び悩む一方、コロナによる緊急事態宣言が出される前の今年3月まではモノの値段が緩やかに上がっていたため(参照:総務省 消費者物価指数)、貯金したくてもなかなか難しいというのが現実なのでしょう。
②約半数の人は「老後の生活資金」に不安を抱いている
貯金が十分に行えていない状況から、やはり多くの人の悩みは「老後の生活資金」に傾いていました。
「あなたがいま最も不安に感じているお金の問題は何ですか?」という質問には、約半数の46.3%が「老後の生活資金」と回答。また、50代のみで集計すると、老後の生活資金が不安だと答えた人は7割近い67.2%に上ります。
③一番のリスクは「自分が働けなくなること」
さらに、「日常生活の中であなたが一番リスクだと感じていることは何ですか?」という質問には27.9%が「自身が働けなくなること」を挙げ、また20.5%が「自身が病気になること」と答えています。
合わせると半数近くの人が、働けなくなって収入が途絶えることへの不安感を抱いていることが分かりました。
④資産運用をしている人は3割強
では、貯金しようにもなかなか難しい経済環境の中、お金に関する取り組みについてはどんな意識を持っているのでしょうか。
同調査の「現在資産運用をしていますか?」という問いには35.5%が「している」と回答し、「今はしていないが今後してみたい」と「していないが興味はある」を合わせると71.5%が資産運用に関心があることが分かります。
また、20代のみで集計すると「している」を選んだ人が51.1%と、若年層にも資産運用の考え方が広がっていることが示されています。
このように、決して先行きが明るいとは言えない今、老後の生活資金や自身が働けなくなった時のために、日ごろからコツコツと資産運用をしなければ、と考え始めている人は少なくないのではないでしょうか。とはいえ、資産運用と聞くと「難しそう」「お金が減るリスクが不安」と感じ、すぐに始められない人が多いのも事実。
実際、金融商品の中には仕組みが分かりにくい複雑な商品や、手数料を多く徴収されるような商品も存在します。そのため、人に勧められたからといって、自分でしっかり内容を理解しないまま、やみくもに手を出すのは避けるべきでしょう。
資産づくりを投資信託で始めるときに注意すべきこと
まず、自分で金融商品(株や債券など)を選ぶことは敷居が高いと感じている人が多いと思います。その場合、多くの人は投資信託という「プロに運用を任せる商品」を購入することを考えるでしょう。その際に意識しておく必要のあることが2つあります。
①手数料
一般的に投資信託の手数料には、購入時に販売会社へ支払う購入手数料、投資信託の運用中に差し引かれる信託報酬、監査報酬、売買委託手数料などがあります。また、換金時に信託財産留保額が発生する場合もあります。
しかし最近ではネット証券を中心に、投資信託の販売手数料無料化が進んでいます(販売手数料がかからないものを「ノーロード」と言います)。購入を検討する際には、販売手数料がゼロのもの、また信託報酬などが低い投資信託を探しましょう。
②税金
投資信託から得られる利益は、分配金、譲渡益、償還差益といったものがありますが、現在の税制では利益に20.315%の税金がかかります。たとえば1万円利益があっても約20%の税金が引かれると約8000円というように、かなりのインパクトがあります。そのため、非課税枠が提供されているNISAとiDeCoの利用を検討するといいでしょう。
NISAとは2014年1月から開始された少額投資非課税制度。年間一定額の株式や投資信託等に投資した場合の利益が非課税になります。年間120万円までの投資が最長で5年間非課税になる「一般NISA」と、最長20年間・年間40万円までの積立投資が非課税になる「つみたてNISA」があります。
一方、iDeCoとは基本的に20歳から60歳の人が加入対象となる個人型確定拠出年金のこと。自分で設定した掛金額※を拠出して積み立てていき、定期預金や保険、投資信託などの運用商品を自分で選んで運用し、掛金とその運用益との合計額を私的年金の給付として受け取るものです。
このiDeCoには3つの節税効果があります。1つ目は掛金が全額所得控除の対象になること、2つ目は運用益も非課税で再投資できること、そして3つ目は受取時にも控除の対象となることです。iDeCoは年金として受け取る場合は公的年金等控除の対象に、また一時金の場合は退職所得控除の対象になります。
※iDeCoの掛金は毎月5,000円から1,000円単位で設定できますが、職業ごとに上限額が決められていますので、詳しくはiDeCo公式サイトでご確認ください。
おわりに
経済の先行きが不安な昨今、老後の生活資金を不安に感じるのは無理もないことです。しかし、何もしなければお金は貯まっていきません。NISAやiDeCoなどの税制優遇を上手に利用して、資産づくりを始めることを考えてはいかがでしょうか。ただし、運用には元本割れのリスクがあることも念頭におき、じっくりと吟味してから始めるようにしてください。
【参考資料】「人生100年時代の“お金”に関する最新意識調査」(株式会社FPパートナー)
鈴木 拓人