食糧資源を巡る国家間の争いに発展?

現在のところ、こうしたバッタの襲来が収まる気配は見えない。今回のように大量のバッタの襲来は人々の移動、公共交通機関の麻痺など日常生活のリズムを大きく乱すだけでなく、なにより人間の生存に必要な食糧に大きなダメージを与える恐れがあることから、非常に深刻な脅威といえる。

新型コロナウイルスの感染拡大と比べると、バッタの襲来による経済的な影響は限定的なものだ。しかし、バッタの襲来によって十分な感染対策が実施されなくなり、感染拡大に拍車をかけるリスクはある。

また、これは我々人類への警告かもしれない。大量のバッタ発生は地球温暖化による影響とも言われる。地球温暖化による影響は、究極的には資源を巡る紛争や戦争を招くとも言われるが、それは今後さまざまな形で我々の経済活動にも悪影響を与えてくるだろう。

バッタではなくても、他の昆虫類や動物が大量発生し、人類に必要な水や食糧を食い荒らし、食糧資源を巡る国家間の争いが陸や海で激しくなることすら想定される。

FAOは以前、人類は虫を主食にするべきだろうとする報告書を出したことがあったが、フィンランドなどでは昆虫パン、虫の唐揚げなどが当たり前に販売され、栄養素が高いことから好んで食べる市民も増えているという。

バッタの襲来は単なる偶然ではない。それがどう世界経済に影響を与えていくかを真剣に考える必要がある。

和田 大樹