新型コロナウイルスの感染拡大が依然として猛威を振るうなか、筆者は1つの問題を懸念している。それは、アフリカや中東、南アジアなどで被害が拡大するバッタの襲来だ。

全世界に広がるバッタ襲来の被害

世界銀行は5月21日、過去70年間で最大規模のバッタの襲来による深刻な被害が発生しているとして、ジブチ、エチオピア、ケニアなど東アフリカ諸国に対して総額1億6000万ドルを支援すると発表した。

既に東アフリカ地域では2300万人が食糧難に直面しているとも言われる。サバクトビバッタは、パキスタンやイラン南部、イエメン、ソマリア、ケニアなどで繁殖し、それらが周辺諸国に襲来する形で被害が拡大している。

現在、インドの首都ニューデリー近郊ではバッタの大群が襲来し、農作物や人々の日常生活に大きな被害を与えている。インド政府は殺虫剤をフルに使うなどしてバッタの駆除を行っているが、なにせ数が数だけに効果は十分に現れていないという。

西部のラジャスタン州では5月初め、このサバクトビバッタの大群およそ数百万匹が7キロにわたる群れで隣国パキスタンから襲来し、農作物を食い荒らすなど、現地の経済に壊滅的な被害を与えた。

ローマに拠点を置く国連食糧農業機関(FAO)によると、今回のバッタの襲来によって農作物の8割が食い荒らされる恐れもあり、大きな食糧問題に発展する恐れがあると警戒している。

一方、6月下旬には南米でも被害が拡大している。アルゼンチン北部ではパラグアイから飛来したバッタ数千万匹の大群が、サトウキビやトウモロコシなど農作物を食い荒らしたという。今後はブラジルやウルグアイを襲来する恐れがあるとされる。