日経平均は力強さが継続。為替も円安・ドル高傾向へ

2016年7月22日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より182円976銭安の16,627円25銭となりました。2営業日ぶりの下落です。

21日に、日銀の黒田東彦総裁が、日銀が国債を買い財政資金を提供する「ヘリコプター・マネー」に否定的な見解を示したと伝えられたことから、海外投資家らに円を買い戻す動きが出ました。

外国為替相場で円相場が1ドル=105円台まで上昇したことで、輸出関連企業などが売られたほか、週末とあって、目先の利益を確定する動きも出ました。スマートフォン用ゲーム「ポケモンGO」の配信が始まりましたが、22日に関しては、影響は一部の関連銘柄に限られました。

ただ、日経平均は7月15日までの一週間で1,300円以上も上昇しています。今週はその反動で調整が入るのではないかという見方もありましたが、実際には押しも若干にとどまりました。力強さを感じるところです。海外の相場も全般的にしっかりとした動きになっています。

気になる為替相場の動向については、今週は一時、1ドル=107円台前半をつけ、約1か月半ぶりの円安ドル高水準となりました。22日は105円台まで上昇しましたが、ニューヨーク外国為替市場で反落し、1ドル=106円ちょうど付近で終えています。このまま円安傾向が続けば、日本株もさらに押し上げられる可能性があります。

今後の展開はどうなるでしょうか。来週は、米連邦公開市場委員会(FOMC)が26・27日に開かれます。連邦準備制度理事会(FRB)では、英国の欧州連合(EU)離脱が米経済に影響するとして、利上げを当面見送る考えです。

日本では、28日・29日に日銀の金融政策決定会合が開かれます。前述したように、日銀の黒田総裁は「ヘリコプター・マネー」を否定しています。しかし、投資家の間にはそれでも何らかの追加緩和が実施されるのではないかと期待する声もあります。緩和が見送られるようなことになれば失望売りを招きやすいため、注意が必要です。

17,000円直前まで上昇。75日移動平均線も上向きへ

今週の動きをテクニカル面から見てみましょう。今週は18日(月)が祝日で休場、19日(火)は陽線で始まりました。

20日は若干の押しが入りましたが、それでも安値は19日の安値を下回りませんでした。19日の安値付近で反発すると、21日には一時、16,938円と、17,000円にわずかというところまで上昇しました。

22日には利益確定売りなども出て下落しましたが、こちらも安値は19日の安値より下がっていません。75日移動平均線を大きく超え、同移動平均線も上向きになっています。

16,500円前後でサポートされれば、さらに一段上へ

来週の動きはどうなるでしょうか。現状は上昇相場への転換を予感させます。25日移動平均線だけでなく、75日移動平均線も上昇しています。トレンドラインについても、4月25日の高値(17,613円)と5月31日の高値(17,251円)を結ぶ下降トレンドラインを抜けました。

今週は若干の押しが入りましたが、過去にもみ合った16,500円付近でサポートされるようであれば、本格的な底入れと見ていいでしょう。さらに一段上への上昇が期待されます。その場合の上値めどとしては、目先の節目である17,000円、5月31日の高値(17,251円)、さらに、4月25日の高値(17,613円)あたりになります。

ただし、短期間で大きく上昇したことから、来週は16,500円付近や75日移動平均線(16,300円前後)付近でもみ合う動きになることも考えられます。

下原 一晃