カニが食べられなくなる日が本当にやってくるかもしれない
では、養殖と輸入はどうでしょうか。蟹の場合、養殖は非常に少ないと考えられます。一方、輸入は正確な数値を把握するのが困難と言われています。
もちろん、水産庁が把握している輸入データはあるのでしょうが(非公表)、公式データには含まれない輸入量、いわゆる“闇取引”が少なくないかもしれません。ロシア、中国、北朝鮮などから多くのカニを輸入しているのは公然の事実と言われますが、実際はどうなのでしょうか。
最後に、世界の水産物需要に目を向けると、これは増加の一途を辿っています。水産庁の「世界の水産物消費」を見ると、1960年代からの50年間で世界の1人当たり食用水産物消費量は2倍以上に増加。中でも1990年代以降のアジアの伸びが顕著です。やはり、中国やインドネシアなどアジアを中心とした新興国での消費量が増えたためでしょう。
現在、日本向けに輸出されているカニについても、新興国へ次々とシフトすることもあるでしょう。とすると、カニが思うように食べられなくなる日も、そう遠くない可能性があります。そんなことを考えながら、6月22日はカニのおいしさに舌鼓を打つのもいいかもしれません。
葛西 裕一