毎日、しっかり通勤時間分の1時間半をそうしたコンテンツ消費に充てたことで、むしろ今まで通りの生活を続けることができたA。家にいながらも充実した時間を過ごしただけでなく、ダラけてしまいがちな在宅勤務も「仕事が終わったらあの漫画を読むんだ」とモチベーションアップにつなげていました。

オンとオフの切り替えができず、結果的に仕事時間が増えた人も

一方、筆者の周囲で意外と多かったのが「常に仕事をしていた」という声。それまで通勤時間が仕事とプライベートを分ける切り替えタイムにもなっていたことに気付いたパターンです。

筆者はコロナ前から在宅勤務だったのでよくわかりますが、家で仕事をしていると、極端に言えば睡眠と食事の時間以外はすべて仕事に充てることも不可能ではありません。家にいる限り常に仕事モードになってしまい、オンとオフを切り替えずにずっと仕事をしまうことに。在宅勤務で通勤時間が減ったものの、結果的に仕事時間が増えてしまった人は少なくないのではないでしょうか。

公益社団法人日本生産性本部が1100人を対象に実施した調査では、新型コロナウイルス収束後にテレワークを継続したいかについて「そう思う」と答えた人が24.3%、「どちらかと言えばそう思う」と答えた人が38.4%と、全体で6割強もの人が今後のテレワークを肯定的に捉えていることがわかりました。

在宅勤務は会社とは異なり、自分自身で仕事のモチベーションを上げ、プライベートとの切り替えをしなくてはいけないもの。浮いた通勤時間をどう有効に使うのかもその人次第となります。今後は一般的になっていくであろう在宅勤務をどのように自分の環境に合わせて仕事の生産性を上げていくか。今がまさに、今回のコロナでの経験を反省したり今後に活かしたりするための対策を考えるタイミングなのかもしれません。

【参考資料】
在宅勤務に関する調査」(楽天インサイト株式会社)
『コロナ禍』における生活者意識調査~ACR/exパネル5月調査より~」(株式会社ビデオリサーチ)
第1回 働く人の意識調査」(公益財団法人 日本生産性本部)

富士 みやこ