株式市場の振り返り-日経平均株価は6連騰、ポケモノミクス相場の勢い衰えず
2016年7月19日(火)の東京株式市場は続伸となりました。日経平均株価は前日比+1.4%の上昇、TOPIXも+1.1%の上昇で引けています。いずれも6日続伸です。一方、新興株式市場の東証マザーズ総合指数は▲0.6%下落して4日続落となりました。好対照な動きが続いています。
日経平均株価は、円安進行などを受けて前日比+114円高で寄り付きましたが、急ピッチな株価上昇等を背景に下げ始め、前場の半ばには+16円高まで上げ幅を縮小しました。しかし、後場に入ると再び買いが優勢となり、徐々に上値を切り上げて行きました。大引け間際には一時+228円高となる場面がありましたが、最後は+225円高の16,723円で終わっています。2016年に入ってから2度目の6連騰を記録しました。
東証1部で上昇したのは1,441銘柄、値下がり417銘柄、変わらず110銘柄でした。東証1部の出来高は20億1,050万株、売買代金は2兆9,957億円(概算)となっています。売買代金はほぼ3兆円となる活況です。売買高に比べて売買代金が膨れているのは、値嵩株の売買が多いことを物語っています。
セクター動向と主要銘柄の動き-30業種が上昇、先週冴えなかった内需関連へ買いが優勢
東証1部で上昇したのは30業種、下落したのは3業種でした。上昇率上位には、先週は芳しくなかった内需関連業種が名を連ねており、外需セクターは小幅上昇に止まりました。また、下落した業種では、情報・通信の不振が目立っています。
個別銘柄では、またしても任天堂(7974)が急騰して+14%超の上昇となりました。また、同じ値嵩株では、先週末に続きファーストリティリング(9983)が値を上げ、ソニー(6758)、コマツ(6301)、東京エレクトロン(8035)なども年初来高値を更新する上昇となりました。一方、大型買収を公表したソフトバンクグループ(9984)が急落し▲10%超の下落となりました。他には、信越化学工業(4063)やマツダ(7261)などが値を下げています。
東証マザーズ市場の動き-一時は900割れ目前、後場終盤に盛り返すも4日続落
19日の東証マザーズ総合指数は、前場から大幅安となり、一時は900ポイント割れが視野に入る不振となりましたが、後場に盛り返して小幅安に止めました。それでも4日続落となり、大型株と対照的な結果となりました。出来高は前日より大幅減少して6,047万株、売買代金は僅かに減少して1,143億円となっています。なお、値上がりが80銘柄、値下がりは147銘柄、変わらず7銘柄でした。大型株への資金シフトに伴う換金売りは、そろそろ峠を越えそうな雰囲気もありますが、再び上値を狙うには、物色テーマとなる材料が欲しいところです。
個別銘柄では、医療バイオ関連銘柄が総じて下落した中、そーせいグループ(4565)は小幅上昇となりました。一方、同じ時価総額の大きいCYBERDYNE(7779)は小幅安となりましたが、とミクシィ(2121)は値を上げています。また、先週末に急落したLINE関連銘柄の下落が続いており、アドウエイズ(2489)が連日のストップ安となったのを始め、フリークアウト(6094)やネットイヤーグループ(3622)などが大きく値を下げました。その他では、はてな(3930)、Hamee(3134)などが大幅上昇となっていますが、全体的には静かな動きだったと言えましょう。
本日(7月20日)の注目点-任天堂株への異常な依存度を抱え、2016年初の7連騰に挑む
ポケモノミクス相場は勢いが衰えず、日経平均株価とTOPIXは今年2度目の6連騰を達成しました。20日(水)は2016年初の7連騰に挑むことになりますが、懸念材料も少なからず見られるようになってきました。まず、任天堂株への依存度の大きさです。19日の売買代金は約3兆円でしたが、そのうち任天堂1銘柄で7,000億円超となっています。1銘柄の構成比が23%超というのは、ハッキリ言って“超”異常現象です。こんな状況が続くはずがありません。
確かに、任天堂は日経平均株価の構成銘柄ではありません。しかし、株価指数への間接的な波及効果は極めて大きくなっており、任天堂株の大幅な調整は、株価指数の急落に繋がるリスクが大きいと言えます。今回の上昇相場が始まってからの上昇率(終値ベース)が+10.7%に達したことからも、要警戒ゾーンに入ったと考えていいでしょう。20日は、ポケモノミクス相場の揺り戻し第1弾に注意して下さい。ちょうどQ1決算が始まるタイミングでもありますから、上値を追い駆けずに静観を勧めます。
一方、新興株式市場は苦戦が続いていますが、僅かながら底打ちの気配も見え始めています。今回のポケモノミクス相場で大幅に下落した銘柄を中心に、下値をコツコツ拾い始める時期かもしれません。大型株市場の調整が見えたら、それは底打ち確認のシグナルとも言えましょう。
青山 諭志