インフレでさらに苦しい生活

株価上昇の背景にはハイテク企業の業績の伸びだけではなく、米連邦準備理事会(FRB)と米政府の無制限の量的金融緩和策も大きく影響しています。FRB の債券購入による無制限の量的金融緩和が市場を安定させるだろうという期待が強まるからです。

無制限の量的緩和で国内にお金が増えすぎるとお金の価値を下げてしまい、いずれは物価上昇、インフレーションに繋がるというのが基本的な流れです。株式・不動産などを所有する富裕層にとっては、インフレで物価が上がれば資産を増やすことになります。

しかし十分な昇給もなく、物価上昇に追いつけない中間層以下への負担は重く、生活がますます厳しい状況になってしまいます。

どうでしょうか。今回の量的金融緩和ではインフレにはならないだろうという意見もあるようです。様々な解釈が出来るのかもしれません。ただ、基本的な流れをみれば、こうして格差がまた広がってしまうという仕組みが分かります。

黒人差別から始まった抗議デモですが、一生懸命働けど生活は苦しくなっていくという不遇な人々の格差や差別を容認する社会構造に対する不満が、米国中で爆発し大規模な抗議デモとなりました。アメリカに限らず、世界的な問題でもある格差、差別が少しでも改善されることを願います。

参考

(※)「米富裕層の資産、コロナ禍の3カ月で62兆円増える」CNN

美紀 ブライト