ヤマハ、新型コロナと為替の影響で減収減益 楽器事業売上は堅調も部品・装置事業の市況が低迷

2020年5月27日に行なわれた、ヤマハ株式会社2020年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:ヤマハ株式会社 取締役 代表執行役社長 中田卓也 氏

決算発表のポイント

中田卓也氏:みなさま、おはようございます。中田でございます。本日はお忙しいところ、当社決算説明会にご参加いただきまして、ありがとうございます。それではさっそくですが、これより決算についてご説明をします。

まず資料の1ページをご覧ください。決算のポイントを記載しました。新型コロナウイルスによる137億円のマイナスと、為替影響による131億円のマイナスが大変大きく、部品・装置事業の低迷も加わり、結果として、2020年3月期の実績は対前年で減収減益となりました。売上収益は、第3四半期まで楽器が堅調に推移していましたが、第4四半期の新型コロナウイルスの影響が大きく、減収となりました。事業利益についても、第4四半期の新型コロナウイルスの影響が大きく、一時費用を加算して減益となりました。

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当期利益は、事業利益が減少したことに加えて、操業停止損も加味し、減益となりました。2021年3月期の業績予想については、新型コロナウイルスの影響の不確実性が高く、現時点では合理的に算出することができないということで、大変申し訳ありませんが、本日の段階では非開示とします。

業績概要

3ページは業績概要です。数字の確認をしておきたいと思います。売上収益は4,142億円、対前期で200億円のマイナスで、事業利益については464億円になりました。事業利益率は11.2パーセントで、前期の12.1パーセントから減少という結果になりました。当期利益についても346億円ということで、対前期14パーセントの減少です。

為替レートについては109円で、ユーロでは122円利益ベースですが、これは当初予定していたドル110円、ユーロ125円に対して、円高で推移したということです。

事業利益増減要因

4ページでは利益の増減要因を前期との比較からご説明します。前期との比較では、527億円から464億円に減少しましたが、一番影響が大きいのは為替影響の65億円です。さらに、当初想定していましたが、部品・装置、その他の事業のマイナスがありました。加えて、海外生産の労務費の上昇等々がありましたが、モデルミックス、販管費、コストダウンも踏まえて25億円プラス要素になりましたが、全体としては為替影響、部品・装置、その他の事業の影響が大きく、464億円となりました。

前回予想との比較では500億円と発表していましたが、新型コロナウイルスによる減収と減産等が大きく影響し、464億円となります。「実際に新型コロナウイルスの影響でどのくらいのマイナスがあったのか」とご質問があるかもしれません。売上についてはある程度積み上げで計算ができましたが、利益については合理的に分離することがなかなか難しいため、結果だけを見ますと、前回予想が500億円というところで、新型コロナウイルスの影響は10億円ほど調整をしていました。結果としては464億円ですので、だいたい40億円を超えるのではないかと思います。

事業別業績概要

5ページは事業別業績概要になります。楽器事業、音響機器事業、その他の事業は、いずれも前期比でマイナスになっています。一方で、楽器事業と音響機器事業については、為替の影響ほどには、事業利益は対前期で下がっていません。逆に、為替がなければいろいろなところの施策が功を奏しているということです。

売上についても、楽器事業は対前年度でほぼ100パーセントになっています。とくに音楽教室のところが非常に厳しかったとことを除きますと、製品レベルでは新型コロナウイルスの影響もありましたが、102パーセントで着地しています。

また、音響機器事業もOEMも除きますと100パーセントであり、こちらも新型コロナウイルスの影響がなければ成長ができてたのではないかと想定しています。

新型コロナウイルス感染症による影響について

6ページは売上ベースで新型コロナウイルスの影響をまとめており、5月7日に発表した数字をそのまま記載しています。日本、北米、中国の影響が大きく、とくに中国は2月から影響が出ており、2月から3月に大きくマイナスとなりました。北米については3月から、日本については2月末からですが、ここには音楽教室を閉鎖した影響が非常に大きく出ています。

主要経営数値

7ページは本決算ですので、主要経営数値についてレビューをしました。営業事業利益率については、先ほどお伝えしたように11.2パーセントで、ROEは10.1パーセント、EPSは195円と、いずれも前期を下回った結果となりました。

スライドの右下には、非財務の指標を掲げました。私どもはESG関連も含めて、いろいろな非財務指標を目標値に掲げています。まず、アジア等における器楽教育の普及活動については、100万人を目指していますが、前期で40万人弱ということで順調に進捗しています。ただ、直近では新型コロナウイルスの影響があり、多少鈍化しています。

認証材についても大きく進捗し、50パーセントの目標に対して28パーセントまで達成しています。2021年3月期も46パーセントを見込んでおり、先行して発注していますので、今期も数字はクリアできると捉えています。

楽器事業 売上収益・事業利益

続いて、事業別についてもう少し詳しくご説明します。まず、楽器事業です。9ページをご覧ください。売上収益はほぼ100パーセントですが、先ほどお伝えしたように、楽器製品のみでは102パーセントになります。

第3四半期まで、各楽器がそれぞれ非常に順調に伸長したことが貢献しました。ピアノは、第3四半期まで順調でしたが、第4四半期に中国をはじめとする世界各地で実売が非常に大きく減少しました。

一方、電子楽器はEコマースが非常に堅調に推移し、増収です。従来から想定していましたが、管楽器については日本の少子化等々の影響で不振でした。それ以外のところでは増収となりました。ギターも堅調に増収しました。地域別では、日本を除いてすべて増収となっています。

楽器事業 主要商品 販売状況

楽器別のグラフが出ていますが、先ほどお伝えしたように、ピアノと管楽器が対前年で若干マイナスでしたが、電子楽器と弦打楽器は伸長することができました。

とくに、デジタルピアノは104パーセントという成長で、電子楽器の中でも成長を加速することができました。また、弦打楽器についてはギター以外の部分も入っていますが、ギターだけを見ると2桁の成長ができたと認識しています。

楽器事業 地域別販売状況

11ページは地域別になりますが、先ほどお伝えしたとおりです。日本は全体で約90パーセントとなっています。第3四半期の決算の時もお伝えしましたが、第3四半期は消費税の影響がありました。第4四半期には消費税の影響は薄まってくると想定していましたが、新型コロナウイルスの影響により楽器の販売が低迷したことに加えて、3月については音楽教室の収入がほぼなくなっているということを踏まえた数字となっています。

一方で、ヨーロッパは第3四半期まで大変堅調に推移しており、第4四半期も対前年のところでほぼ踏み留まることができたということで、全体として104パーセントの成長です。中国は、第3四半期まで順調に推移していましたが、第4四半期は新型コロナウイルスの影響で、とくにピアノへの影響が大きく、ご覧のような数字になっています。

楽器事業 個性際立つ商品の開発①

次のページ以降で、先期に出した商品を記載しましたが、電子ピアノ「CVP–800シリーズ」は高価格帯の商品になりますが、このような大型の商品も第3四半期までは売上増に大きく寄与しました。とくに北米では好調に推移しています。ミニキーボードも新しく開発をして市場に投入しましたが、これも非常に評判が良くて、とくにステイホームのために売上が順調に積み上がっています。

楽器事業 個性際立つ商品の開発②

13ページはギター関係ですが、アコースティックギターに加えて、エレキギターについても新商品が非常に好調に推移しています。またエレクトリックナイロンストリングス ギターもヤマハ独自の技術を詰め込み、新しい価値を訴求しています。

サイレントベースは、ヤマハが過去から培ってきたいろいろな技術をもとにした、いわゆるサイレント楽器、音の出ない楽器です。これはステイホームの中でも非常に注目を浴びているところです。

楽器事業 個性際立つ商品の開発③

14ページです。機能だけではなく、デザインでも多くの評価をいただいている商品のご紹介です。とくにショルダーキーボード、アコースティックギターは、従来のギターとは違う、新しいデザインを追求したところで、とくに女性の方にご好評いただいているものです。

音響機器事業 売上収益・事業利益

続いて、15ページは音響機器事業の概要になります。売上収益については微減の98パーセントでしたが、予測していましたICT機器のOEMの部分の減少の要素を除きますと、ほぼ100パーセントという着地になりました。

AVについてはレシーバーの市場縮退に加えて、北米での新型コロナウイルスの影響による出荷が停止されたことで減収となっています。また、PA機器もライブ市場は非常に苦戦しています。一方で、これもステイホームの影響だと思いますが、家庭での録音機材やスピーカーなどが堅調に推移しています。

ICTについては、中国のOEMの減少の影響が出ていますが、一方でUC機器のテレワーク用の機材が非常に好調に推移しています。事業利益についても、前回の85億円という発表から需要をキープすることができています。

音響機器事業 主要商品 販売状況

商品別で見ていきます。AV機器は先ほどお伝えしましたが、やはりAVRの不振が大きく、マイナスとなり、対前年でご覧のような数字になっています。PA機器は、コマーシャルオーディオの、とくにライブ市場の不振を反映しています。青字がOEMを除いた前期比になりますが、ICT機器は第4四半期で110パーセントとなりました。ここには、先ほどお伝えしたようなテレワーク用のスピーカーやマイクが寄与した結果が出ています。

音響機器事業 地域別販売状況

17ページは地域別の状況ですが、楽器とは違い、日本が110パーセントと高い伸びを示しています。PAの設備工事の大幅な増加があったことに加え、第4四半期は115パーセントと出ていますが、これは我々がAVのポートフォリオ転換で期待をしていましたヘッドホンの評判が非常に高く、売上増が寄与した結果がここに出ています。

北米については、AVの商品で主力であるレシーバーの不振がここに集中しているということです。加えて、ライブ市場向けのPA機器のマイナスもここに出ています。一方で、ヨーロッパは堅調に推移しました。

音響機器事業 個性際立つ商品の開発①

完全ワイヤレスBluetoothのイヤホンは、国内で先行して発売しましたが、大変好調に推移しています。ただし、3品番発売する予定でしたが、上位機種が新型コロナウイルスの影響で若干生産が遅れており、市場投入が今期にずれ込んでいます。

音響機器事業 個性際立つ商品の開発②

スライド19ページの左のソフトウェアは、家庭で音楽制作をするためのソフトなのですが、これが先期は非常に好調に推移しました。スライドの真ん中のソフトウェアと右のインターフェースも、非常に高い需要を受け、好調に推移しました。また、ユニファイドコミュニケーションスピーカーフォンは、テレワークやリモートワークに大変有効な機器で高い評価をいただいており、生産が間に合わない状況が続いています。

音響機器事業 個性際立つ商品の開発③

毎年行なわれています日経コンピュータのパートナー満足度調査で、昨年度も1位をいただきました。このような高いご評価を背景に、しっかりとこのビジネスを組み立てていきたいと考えています。

部品・装置、その他の事業 売上収益・事業利益

21ページです。ICT機器、その他は大変苦戦しました。売上収益は対前年で88パーセントであり、ここの部分はとくにカーパーツ事業やFA機器の事業が苦戦しました。第4四半期で多少の挽回ができると考えていましたが、カーパーツでは車の新商品の立ち上げが延期になり、FMも新型コロナウイルスの影響を大きく受けました。また、設置が進まなかったことも含め、大きくマイナスになっています。

その結果、事業利益についても、前期は23億円の利益がありましたが、今期については0ということになりました。一方で、電子デバイスは前年を上回る回復を見せています。以上が事業別の概況になります。

その他の財務数値 貸借対照表

その他の財務数値について確認したいと思います。まず23ページ、貸借対照表です。前期に比べて、主に非流動資産が大きくマイナスになっています。これはヤマハ発動機の株式の評価が下がったというところがほとんどです。また負債及び資本もそれを受けて、資本計が大きくマイナスになっています。一方で、全体の株主資本はほぼ変動がありません。これは先々期の利益が寄与した部分のほぼ全額を配当・自己株に資金として回し、プラスマイナスゼロということです。結果として、ヤマハ発動機の株式の評価外がマイナスというかたちになっています。

その他の財務数値 設備投資額・減価償却費/研究開発費

24ページは設備投資、減価償却、研究開発です。第3四半期に想定した線上で着地しました。2020年3月期は、前期に比べて40億円ほど増えていますが、ここはすでに発表しているとおり、横浜の土地の購入費用、オフィス関係です。また、インドネシア、インド、中国の工場に対する投資があったということです。

ESG Environment 環境

ESG関連についても少しだけ触れたいと思います。まず26ページのところですが、先ほどもお伝えした認証材の調達が順調に進んでいるということと、自社基準ではありますが、エコプロダクツも環境に配慮した商品がきちんと増えています。

ESG Social 社会①

27ページは、社会への貢献、「School Project」です。とくに新興国における器楽教育の普及活動をしっかりと進展させています。ロシア、インド、ベトナム、マレーシア、インドネシアとありますが、エジプトも新たに加わっており、広がりを見せています。

ESG Social 社会②

28ページをご覧ください。ヤマハの持っている音の技術や遠隔地です。これはインターネット関係の技術も融合させた状況で、テレワークやソーシャルディスタンスが必要なところでお役に立てるのではないかということで、積極的に推進しています。

スライドの右側に「Remote Cheerer powered by SoundUD」とありますが、これはご自宅とスタジアムを結んで、例えばサッカーなどでご自宅での声援をスタジアムに届けるというシステムを開発しているというものです。5月に実証実験を行ない、大変な効果があることを我々も理解しています。

ESG Social 社会③

29ページは、インターネット回線を介して、遠隔地同士で音楽を合奏することができるシステムのご紹介です。これは、ソフトウェアを組み込んでいただくことで実現します。新たに「SYNCROOM」(シンクルーム)という名称でリリースを予定していますが、現在、我々の想定を遥かに上回るレベルで登録していただいています。今後、こうしたものをしっかりとビジネスに結び付けていきたいと考えています。

ESG Governance ガバナンス

30ページはガバナンス強化になります。今期から新しく監査役員を新設しましたのでご紹介します。新設の趣旨、監査機能強化のため、執行役員と同格の経営陣メンバーとして、監査役員の新設をしました。私どもは指名委員会等設置会社ですので、監査委員会もきちんとあり、そこで監査していただくということですが、社内の機能を補完するという目的で監査役員を設置しました。権限と地位をふんだんに使っていただき、きちんとした監査を行なっていこうと考えています。

自己株式取得及び配当

最後になりますが、32ページで株主還元についてご確認します。今期も自己株を取得しましたが、取得総数はスライドに記載されているとおりとなりました。株主総会での決議事項になりますが、今期から通期での配当を66円に予定しています。配当性向は33パーセントを超えますが、今期についてはこの配当をしっかりと行なっていきたいと考えています。

最後に、付属資料を記載していますが、これは時間がある時にご覧いただければと思います。決算の概要について、私からは以上のとおりです。

記事提供:ログミーファイナンス

参考記事

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