日経平均は5日続伸、1か月ぶりに高値へ
2016年7月15日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より111円96銭高の16,497円85銭となりました。5日続伸です。直近で終値が16,000円を超えたのは6月10日以来です。
およそ1か月ぶりに日経平均が高値になった背景には、世界的な株高傾向があります。米労働省が8日に発表した6月の雇用統計(速報値、季節調整済み)では、農業部門の就業者数は前月より28.7万人増となり、市場予想(17.5万人)を大きく上回りました。景気の減速感が後退したことから、米ダウ工業株30種平均は5日続伸し、史上最高値を更新しました。
為替相場も円安傾向となっています。15日午前には中国の国内総生産(GDP)の成長率が市場予測を上回ったことなどから、投資家がリスクを取り「安全資産」とされる円を売る動きが強まりました。ドル・円は一時、1ドル=106円台と、英国の欧州連合(EU)離脱が決まった先月24日以来の円安となりました。
ただし、その後、緊張したニュースも伝わってきました。日本時間16日5時前、トルコのユルドゥルム首相は、トルコ軍がクーデターを画策したと発表しました。これを受けたリスク回避で円を買う動きが加速し、ニューヨーク外国為替市場は1ドル=104円台まで円が上昇しました。
今後の展開はどうなるでしょうか。よい材料としては、政府の政財対策への期待があります。先日行われた参院選で連立与党が過半数を大きく上回ったことを受けて、安倍晋三首相は、10兆円を超える規模の経済対策について、月内をめどに策定するように指示しました。
英国のEU離脱によるショックは落ち着き、株高、円安傾向も続いています。
ただし、前述したような地政学リスクも高まっています。14日夜(日本時間15日5時ごろ)にはフランスのニースでトラックが群衆に突っ込むテロ事件も起きています。
いつどこで何が起こるか、予測が難しくなっています。取引およびポジション管理には十分に注意したいところです。
15,000円付近で下げ止まり、英EU離脱前の高値も超える
今週の動きをテクニカル面から見てみましょう。今週は週初から大きな陽線で始まりました。6月24日の安値(14,864円)の直前、節目となる15,000円付近で下げ止まり、反発した形です。
12日には、先週の高値付近であり、過去にもみ合った15,800円前後を、窓を開けて一気に突破しました。さらに、直近の上値めどであった、6月24日の高値(16,389円)も超えていることに注目したいところです。
上昇相場への転換を予感させるが、来週は若干の調整もあるか
来週の動きはどうなるでしょうか。大きな動きで見ると、上昇相場への転換を予感させます。
ローソク足の実体は、25日移動平均線だけでなく、75日移動平均線も超えています。25日移動平均線は下降から横ばい気味になっており、来週は上昇しそうです。
トレンドラインについても、5月31日の高値と6月8日の高値(16,830円)を結ぶ下降トレンドラインを大きく上抜けています。現状は、4月25日の高値(17,613円)と5月31日の高値(17,251円)を結ぶ下降トレンドラインの上限付近です。
今週大きく上昇したことから、来週はこのトレンドライン付近で若干の調整があるかもしれません。ただし、その後、再び6月24日の高値(16,389円)付近でサポートされるようであれば、本格的な底入れと見ていいでしょう。
その場合の上値めどとしては、目先の節目である17,000円、5月31日の高値(17,251円)、さらに、4月25日の高値(17,613円)あたりになります。
逆に、トレンドライン付近で上値を抑えられ、75日移動平均線や6月24日の高値を下回るようなことになると、しばらくチャネル内でもみ合う動きになることも考えられます。
下原 一晃