返済の繰り延べは家庭状況に合わせて

奨学金は借主が学生本人であり、基本的に卒業と同時に返済が始まります。先述の文部科学省の調査結果からも、「大学を卒業すれば安心」とはいえない状況が続いている点も頭に入れておきましょう。

卒業後の進路など、将来の見通しに不安がある場合は返済開始時期を慎重に検討しましょう。教育ローンは借入後から返済が始まる方式と、奨学金と同じように卒業後に返済が始まる方式も選択できます。繰り延べたくなる気もしますが、早めに返済を始めると総返済年数を短くすることもできます。ただし家庭内で進学が続く時期など、返済を後に繰り延べした方がよい場合もあります。他のきょうだいの年齢・進学予定も含めて返済を計画していきましょう。


さいごに

奨学金や教育ローンの利用を抑えるためにも、早期から教育資金の準備をしておくことをおすすめします。また、現在、COVID-19の影響による政府の支援策も打ち出されています。学生生活の継続に支障をきたすケースに対応する『学生支援緊急給付金』制度や、奨学金返還中の人を対象にした減額返還返還期限猶予などの救済措置も頭に入れておくとよいでしょう。

教育資金の準備や融資を受けるという経験、そして想定外の事態が起きた時に支援措置などの情報を集め、SOSを求めることは、大きな社会経験となります。正しい知識とお金に関する能力(金融リテラシー)にもつながりますので、家族で計画を共有していくことが大切だといえます。

【参考】
令和元年度学校基本調査(確定値)」文部科学省
(※1)「奨学金事業への理解を深めていただくために」2019年2月公表 日本学生支援機構(JASSO)
令和元年度『教育費負担の実態調査結果』」日本政策金融公庫
(※2)「令和2年度 貸与利率一覧」(2020年度)日本学生支援機構(JASSO)
(※3)「みずほ銀行教育ローン」みずほ銀行/「ローン金利」三井住友銀行
教育一般貸付(国の教育ローン)」日本政策金融公庫
10代の金銭感覚についての意識調査2020」(2020年4月2日公表)SMBCコンシューマーファイナンス株式会社

LIMO編集部