コロナ禍の影響で、将来の生活に不安な思いを抱えている人も多い昨今。不安定な状況が続くと、仕事やお金のこと、そして老後や年金のことも心配になりますね。
いつの時代も我々が不安になるのは、老後に関することです。特に昨年は老後2,000万円問題が注目され、大きな問題となりました。今日は、老後2,000万円問題にも関係する、老後の生活費についてお話ししたいと思います。
老後に必要なお金は最低でも月に22万円
みんなが気になる老後の生活費。一体いくら必要なのでしょうか。
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(令和元年度)より、夫婦2人で必要な生活費は下記のとおりとなっています。
- 老後生活を送る上で必要と考える最低日常生活費・・・平均22.1万円/月
- ゆとりある老後の生活を送るために必要と考える生活費・・・平均36.1万円/月
ここで言う「ゆとり」ですが、「旅行やレジャー」、「趣味や教養」、「日常生活費の充実」、「身内とのつきあい」などが含まれます。
つまり、老後を旅行や趣味に費やすには、差額の月額約14万円の費用を、生活費とは別に用意する必要があると考えているということです。
老後は自分の時間が増え、会社員時代とは異なる生活習慣になります。今までは必要なかった支出も増え、思わぬ出費が増えます。
老後は趣味や旅行三昧の生活をしたいと夢を抱く方も多いと思いますが、趣味を全うするのには、お金がかかり、最低日常生活費の22.1万円では足りなくなる可能性があります。
老後だからいって、好き勝手にお金を使っていると、「生活費が足りなくなった」など、思わぬ事態に陥ってしまうかもしれません。
「老後2000万円問題」とは?
昨年、「老後2,000万円問題」が大きな話題となりました。このまま年金を払い続けても、老後の生活費には2000万円足らないという騒動でした。この「2,000万円足らない」根拠は、一体どこから来ているのでしょう。
下記は総務省「家計調査年報」(2018年)の資料です。世帯主が60歳以上の無職世帯(2人以上の世帯)の1ヶ月の収入、および支出を見てみましょう。
収入 222,335円
〈内訳〉
- 公的年金などの社会保障給付・・・188,195円
- その他・・・34,140円
支出 269,790円
〈内訳〉
- 食料費・・・68,646円
- 交通・通信費・・・28,598円
- 教養娯楽費・・・24,054円
- 高熱・水道費・・・21,742円
- 住居費・・・14,801円
- 保健医療費・・・14,693円
- 家具・家事用品費・・・9,964円
- 被覆及び履物費・・・6,402円
- 教育費・・・346円
- その他・・・50,688円(うち交際費は22,451円)
- 非消費支出(社会保険料など)・・・29,856円
収入から支出を引くと、およそ月5万円が不足します。年間で約60万円が不足し、これを老後の30年間で計算すると、約1,800万円になり、2,000万円弱のお金が足りないことになります。
これが老後2000万円問題の根拠になっているのです。
決して贅沢な暮らしではなく、過不足なく過ごしていける程度の生活レベルですが、それでも2,000万円程度足りないことになります。最低限2,000万円を貯めることを目指して、準備しておきたいところです。
賃貸派の方は要注意!住居費用の備えは?
心配なことは、まだあります。支出の内訳欄、住居費用をご覧ください。平均の住居費用は14,693円/月となっています。少々安い感じがしませんか?
これは今の高齢者の持ち家比率が高いためです。持ち家の人は、家賃に相当する、毎月の住居費用が不要です。そのため、全体の平均費用が大きく抑えられているのです。
そうなると、「一生賃貸でいいや」と考えている人は、住居費用をもう少し多く見積もる必要があります。老後の生活費支出がその分、上昇することになり、足らない分は2,000万円では済まなくなります。
持ち家信仰に因われない今の若い方は、賃貸派の方が大勢います。一生賃貸派の人は、2,000万円とは別途、住居費用の準備が必要になりますので、住居費用の準備を考える必要があります。
下記の試算をご覧ください。「平成29年度簡易生命表」より、60歳時点での平均余命(男性23.72歳、女性28.97歳)を概ね30年とし、必要な住居費用を計算してみました。
家賃が月5万円の場合
- 5万×12ヶ月×30年・・・1,800万円(住居費用)
- 2,000万円+1,800万円・・・3,800万円の準備が必要
家賃が月10万円の場合
- 10万円×12ヶ月×30年・・・3,600万円(住居費用)
- 2,000万円+3,600万円・・・5,600万円の準備が必要
全国賃貸管理ビジネス協会の「全国家賃動向」(2020年度4月調査)によると、2人部屋の家賃の全国平均が57,866円/月となっています。その部屋に30年住むことになると、約2,083万円の費用を支払うことになります。この金額を、不足する2,000万円と合わせて用意しなければなりません。
特にシングルに必要な介護費用の準備
老後の生活で心配なことの一つに「介護」もあります。上述の支出の内訳には介護の費用が含まれていません。よって、介護が心配な人は住居費用と同じように準備を考えておく必要があるのです。
「おひとりさま」という言葉が生まれるほど、シングル世帯が増加しています。さらに、家族のあり方や考え方も大きく変化しています。老後に自分の世話をしてくれる人がいない場合は、介護費用を自分で用意しておく方が懸命です。
特に老人ホームへの入居費用や毎月の諸費用は、多額のお金がかかります。下記の表にて、各種老人ホームの負担費用を確認ください。
有料老人ホーム(入居金あり)の場合
- 入居金・・・1,000万円程度
- 月額費用・・・25万円程度
- 費用合計(5年間)・・・2,500万円
サービス付き高齢者向け住宅(入居金あり)
- 入居金(敷金)・・・数十万~数百万円
- 月額費用・・・16万円程度
- 費用合計(5年間)・・・1,000万~1,000万円強
特別養護老人ホーム
- 入居金・・・不要
- 月額費用・・・9~13万円程度
- 費用合計(5年間)・・・540~780万円程度
特別養護老人ホームは値段が安いことから、特に人気です。そのため、全国で入居待ちの人が大勢おり、簡単には入所できないのが難点です。
有料老人ホームは、サービスや立地によって、価額の差が大きくなりますが、概ね高額です。中には数億円程度の費用が必要な場合もあります。
ホームに入っても、日常の費用は別途必要になります。レクリ-エーション代、理美容代、おむつ代も必要です。そうなると月3~5万円程度を更に上乗せして用意する必要があります。
すぐに入居できればよいのですが、特養のように入居待ちの場合は、自宅で介護してもらう必要があります。リフォームして介護に適した住宅にする必要もあるかもしれません。
このように、介護は予期せぬ出費が発生します。全てを万全に準備するのは難しいかもしれませんが、できる限りの準備はしておきたいものです。
老後の生活費は「4%ルール」が鍵
住居費用にしても、介護費用にしても、相当大きな金額を用意しなければいけないことが分かりました。老後に慌てて用意しても、到底準備できる額ではありませんね。
そこで、この問題の解決のヒントとなるのが、アメリカで話題の「4%ルール」です。
「4%ルール」とは?
- 定年後(老後)は生活費の25倍の資産を持っておく。
- 資産の4%を毎年生活費として引き出すようにする。
- 資産は株式と債券の組み合わせで保有する。
「4%ルール」の肝は、「老後を迎えるまでに」老後の生活費の25倍の資産を持っておくこと、そして老後も「継続して運用する」ことです。
つまり、若いうちから老後まで、株式と債券で資産を運用し、増えたお金を死ぬまで運用し続けることです。そうすることで、自分が存命の間、手元のお金は枯渇することなく、4%の生活費を引き出し続けることができるのです。
まとめにかえて
私たちの老後は予想以上にお金がかかりそうです。2,000万円の生活費が足りないだけではなく、住居費用や介護費用も準備をしておく必要がありそうです。
まずは信頼できる専門家を探し、資産を増やす方法を見つけることが大事です。日本人は投資に消極的な人が多いのですが、適切な商品と長期での運用を心がけておけば、安定的に資産を増やすことも可能です。一刻も早く、お金を増やす行動を始めましょう。
参考資料
- 生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(令和元年度)
- 総務省「家計調査年報」(2018年)
- 「平成29年度簡易生命表」
- 全国賃貸管理ビジネス協会「全国平均家賃による間取り別賃料の推移」(2020年度4月調査)
- 介護「【プロが答える】老人ホームの費用の目安は?貯金はいくらあれば安心?」
- Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard and Daniel T. Walz, “Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable”
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