高齢出産。そして、アウェイな環境での育児が始まった

都内でOLをしていたAさんは、20代後半で結婚しました。結婚してからも仕事を続けており、「なかなか子どもが出来ないな」と思いながらも過ごしていましたが、周りには同じように30代になっても子どもがいない夫婦が多かったことから、あまり深く考えることもなく、夫婦二人の生活を続けていました。

ですが、30代も後半になると、友人夫婦に次々と子供が誕生。Aさん自身も、「私も母親になりたい。」と考え始めたころに、妊娠が発覚しました。そんな矢先、ご主人の地方都市への転勤が決まり、Aさんも仕事を辞めてついていくことになったのです。

元来お気楽な性格のAさん。ご主人の転勤先は縁もゆかりもない土地でしたが、新しい土地でママ友を作って楽しく過ごしていけるだろうと思っていました。しかし、そんなAさんの気持ちは、出産直後から挫かれることになります。

高齢出産のリスクを懸念してNICU(新生児集中治療室)のある、その地域で拠点となる病院を選び出産したAさん。その産院は強く母乳育児を推奨していました。しかし、Aさんは思うように母乳がでません。なかなか出ないのに「母乳、母乳」と追い立てられ、ゆっくりできるはずの入院生活のはずが、気持ちも身体もクタクタ。

退院後も苦難は続きます。よく見れば周りは自分よりもかなり年の離れた若いママばかり。ママ友を作ろうと思っても、なかなか入っていけないのです。たまに同じ年の子を連れている同年代と思われるママを見かけても、よくよく聞けば実は中学生を筆頭に4人のママ、みたいな感じ。しかも、そういう人は、すでに上の子でママ友関係を構築しているからか、こちらが親しげに話しかけても、反応も素っ気ない…。

子どもは健康にスクスクと育っていきましたが、あまりにもアウェイな環境に、Aさんはだんだんと孤独感を深めていきます。