『青空エール』

著者:河原 和音
刊行:集英社

ストーリー:周りに流され、今まで自己主張をしてこなかった女の子が主人公です。自分に自信が持てない主人公が「甲子園でトランペットを吹いて応援したい」という熱い気持ちを胸に、高校野球部並びに吹奏楽部の強豪校へ進学。そこで出会ったクラスメイトの野球部員とともに成長していく青春ストーリー。

今年は、中学生ならびに高校生の部活動に関する諸々の大会が中止になりました。甲子園という、野球界の大きな指標となる大会も中止を余儀なくされてしまいました。もうね、中学生・高校生時代って、部活に全力投球している子も多いと思うんですよ。部活動が進路や将来に大きく関わって来る子も大勢いると思います。その集大成がなくなってしまった2020年…命にはかえられませんが、本当にやるせない気持ちでいっぱいです。

そんな中学生・高校生時代の部活動にかける輝きを深く感じることができる作品です。キラキラして眩しい学生達の姿に、涙が止まりません!

『3月のライオン』

著者:羽海野 チカ
刊行:白泉社

ストーリー:「その道しかなかった。それは僕が生きていくためについた嘘だった…」幼い頃、交通事故で家族を失った主人公。自分を引き取ってくれたのは父の友人であるプロ棋士。自身も中学生で将棋のプロとなり、高校生ながらに自立の道を歩んでいくが、その姿は見えない不安と孤独に苛まれていた。そんな時に出会った3姉妹との交流をきっかけに、「生きていく」ことを受け入れ、そして日々は穏やかに過ぎていくことを願う、そんな姿を描いた作品。

自粛期間の3月に、たまたまネットで無料配信されていたことをきっかけに読み出しました。映画にもなった有名な作品でしたが、なんとなく避けていたんですよね。というのも、将棋に明るくないので。少女らしい絵柄なのに少年漫画誌掲載なのも、なんとなく避ける理由になっていました。

しかし、将棋を知らなくてもまったく問題なく楽しめたのです。主人公だけではなく、登場人物一人ひとりそれぞれストーリーがあるのも実社会に近く感じることができて、とても興味深く感じました。ストーリー全体はとても重いテーマ性を持っていますが、ちゃんと笑えるところや気持ちを軽くしてくれるところもあり、読後感の良い作品です。