株式市場の振り返り-午後に下げ幅を拡大して4日続落、好材料はほとんど見られず

2016年7月8日(金)の東京株式市場は4日続落となりました。日経平均株価は前日比▲1.1%の下落、TOPIXも▲1.3%の下落で引けています。また、新興株式市場の東証マザーズ総合指数も▲1.8%の下落となりました。

日経平均株価は、前日まで3日続落となった値頃感等から、前日比+50円高で寄り付き、前場の半ばには一時+123円高まで上昇する場面が見られました。しかし、その後は再び円高が進んだこと等からマイナス圏に沈み、さらに大引けに掛けて仕掛け的な売りも見られた結果、下げ幅を一気に拡大して▲169円安の15,106円で終わっています。ほぼ安値引けでした。

東証1部で上昇したのは199銘柄、値下がり1,690銘柄、変わらず78銘柄でした。東証1部の出来高は18億4,524万株、売買代金は2兆588億円(概算)となっています。ミニSQ算出日であったことを考えると、盛り上がりに欠けた売買となりました。

セクター動向と主要銘柄の動き-33業種中32業種が下落、内需関連業種に売り圧力強まる

東証1部で上昇したのは、その他製品の1業種のみで、他は全て下落しました。下落した業種では、不動産、電力・ガス、小売りを始めとする内需関連業種の下落率が大きかったことが特徴です。円高が進んだ割には、輸出関連セクターの下落率は小幅に止まっています。株式市場のトレンドに変化が生じた可能性もあるため、今後も注視したいところです。

個別銘柄では、スマホ向けゲームの販売好調が伝わった任天堂(7974)が大きく値を飛ばしました。他には、ホンダ(7267)やデンソー(6902)など自動車関連株の一角が買われ、東京エレクトロン(8035)や日東電工(6988)も逆行高となりました。下落銘柄の中では、前日にQ1決算を発表したセブン&アイ・ホールディングス(3382)が年初来安値を更新し、KDDI(9433)やソフトバンクグループ(9983)も値を下げています。

東証マザーズ市場の動き-総合指数は4日続落、1,000ポイントの大台回復は遠のく

東証マザーズ総合指数も終始弱い展開が続き、後場は一時950ポイント割れまで下落する場面がありました。大引けに掛けてやや切り返したものの、4日続落となり、1,000ポイント回復がまた一歩遠のいた感じです。騰落状況は、値上がりが41銘柄、値下がりは178銘柄、変わらず14銘柄でした。また、出来高は前日より大きく増えて8,085万株となりましたが、売買代金は逆に1,430億円に止まる結果となりました。早く閑散相場を打破するような材料が欲しいところです。

個別銘柄では、アキュセラ(4589)が連日の急落となりましたが、それ以外の医療バイオ関連銘柄は、そーせいグループ(4565)を始めとして比較的小幅な下落に止まりました。また、情報通信関連、フィンテック関連にも小安い銘柄が目立ちますが、ストップ安を付けるような大幅下落は見当たらないようです。一方で、時価総額の大きいCYBERDYNE(7779)とミクシィ(2121)は共に値を下げ、指数を押し下げています。

本日(7月11日)の注目点-予想以上に好調だった雇用統計でも、円高一服感が見られず注意が必要か

8日は値動きがやや粗い展開でしたが、米国雇用統計の発表を控えていたため、そのイベント・ドリブンの揺さ振りの動きが出たようです。さて、その雇用統計は、予想以上に好調な内容だった模様であり、欧米の株式市場は上昇して終わりました。週明け11日(月)の日本株式市場も寄り付きは好調な展開が見込まれます。一旦は上昇基調になる可能性が高いと予想されます。

しかし、好調な米国雇用統計にもかかわらず、円高進行に一服感が乏しいのが現状です。8日の夜間に見られたように、100円/ドル割れが定着するようだと、株価上昇の余地は限定的とも考えられます。今回の雇用統計を、相場反転の材料と決めつけるのは少し危険と言えましょう。引き続き、内需関連の下値を拾うスタンスが望ましいと思われますが、参院選挙の結果を受けての為替相場の動きに注視すべきです。

新興株式市場は、物色材料やテーマに不足しているため、個別銘柄の下値を狙う動きがより一層強まると見られます。また、週末(15日)のLINE上場を見据えて、様子見スタンスが強くなる可能性もありましょう。大きな物色テーマが登場するまでは、静観するのも選択肢の1つになります。元々、値動きが粗いことを理解した上で、慎重に臨むスタンスが求められます。

青山 諭志