日経平均株価は4日続落。米雇用統計受け、一時、1ドル=99円台へ

2016年7月1日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より169円26銭安の15,106円98銭となりました。週初の4日まで6日続伸していましたが、その後は4日続落となりました。英国の欧州連合(EU)離脱決定を受けて大きく下落した6月24日以来の安値です。

8日は、前日までの3営業日で500円近く値下がりしていたことから、一部の銘柄では買い戻される動きもありました。しかし、買いが一巡すると、日本時間8日夜に6月の米雇用統計の発表を控えていることもあって、投資家の間に様子見ムードが広がりました。

さらに、午前11時ごろから外国為替市場で円高・ドル安傾向となり、後場では売りが優勢となりました。日中は一時、一時、1ドル=100円20銭前後まで円が値上がりしました。

米労働省が8日発表した6月の雇用統計(速報値、季節調整済み)では、農業部門の就業者数は前月より28.7万人増となり、市場予想(17.5万人)を大きく上回りました。5月の雇用統計が低調だったこともあって、発表直後はこれを好感する投資家が多く、ニューヨーク外国為替市場では、一時、1ドル=101円20銭を超えるところまで円売り・ドル買いが進みました。

しかしその後、5月の雇用者数の増加幅が下方修正されたほか、6月の賃金も市場予想ほど伸びませんでした。さらに、市場が混乱している中、連邦準備制度理事会(FRB)が年内に利上げすることは容易ではないという見方が広まり、逆に円買い・ドル売りが進み、一時、1ドル=99円90銭台まで上昇しました。日本時間7月9日の5時59分現在では1ドル=100円50銭台となっています。

来週以降の動きですが、引き続き、英EU離脱決定を受けた影響が心配なところです。イタリアでは、不良債権を大量に抱える大手銀行が資本不足に陥るのではないかという懸念も強まっています。

投資家の不安が高まっていることから、一気に値が動く可能性もあるので注意が必要です。

日経平均はサポートラインになっていた15,400円前後も一気に割りこむ

今週の動きをテクニカル面から見てみましょう。今週は週初に陽線で始まったものの、直近の高値である6月30日の15,800円前後で上値を抑えられると、下落に転じました。

6日は寄り付きから大きく窓を開けて急落し、これまで何度かサポートラインになっていた15,400円前後も一気に割り込みました。

6日はそれでも長い下ひげをつけて買い戻す動きもありましたが、窓を埋めることができず、7日、8日はさらに下がることになりました。

6月24日の安値までは目線は下か。その後は下げ止まりも

来週の動きはどうなるでしょうか。現状では目線を下に持たざるを得ません。

トレンドラインを見ると、4月25日の高値(17,613円)と5月31日の高値(17,251円)を結ぶ下降トレンドラインが形成された後、下降の勢いが増し、5月31日の高値と6月8日の高値(16,830円)を結ぶトレンドライン、5月31日の高値と6月24日の高値(16,389円)を結ぶトレンドラインと、角度が急な下降トレンドラインが次々と形成されています。

つまり、戻りを試そうとしても、直近の高値まで届かず、早々に上値が抑えられてしまうような状況です。

今後の動きとしては、やはり、6月24日の安値(14,864円)がポイントになります。ここを割り込むと年初来の安値を更新することになり、下値めどは2014年10月17日の安値(14,529円)、同年4月11日の安値(13,885円)にまで広がります。

ただし、このあたりは過去にもみ合ったところでもあります。また、6月24日の安値および、それまでの年初来の安値であった2月12日の安値(14,865円)は意識されやすいことから、ここで下げ止まることも考えられます。

下原 一晃