前回の記事『老後は年間いくらで暮らす前提にすればいいのか』では、退職後の年間生活費は目標代替率を使って考えること、95歳までの人生を想定すること、を前提として考えるリタイアメント・プランを紹介しました。

今回はそれに加えて、退職の定義を見直し、退職後の生活費をカバーする退職後年収の考え方を紹介します。

退職の定義を考え直す

「退職」をお金との向き合い方の視点からみると “生活が勤労収入だけで成り立たなくなる時”と定義する方がわかりやすいように思います。

「70歳定年時代」になったといわれていますが、実際には依然として多くの人が60歳で定年を迎え、再雇用・継続雇用で働き続けています。

当然、その段階で勤労収入は大幅にダウンしていますから、今の生活をぎりぎり支えるだけになるか、今の生活もカバーできなくなっている場合には、これを「退職」と定義するべきでしょう。

現役時代は生活費のほとんどを勤労収入で賄い、その勤労収入を今の生活と将来の生活(貯蓄・資産形成)にどう振り向けるかを考えます。一方、退職後は“生活費を何でカバーするか”という視点に変わります。

退職後には、「年金収入」が中心になりますが、それに「勤労収入」とさらに持っている資産を取り崩して生活に充てる「資産収入」が必要になってきます。この3つを合わせて「退職後年収」と呼んでいます。

退職後は3つの収入を想定

前回紹介した目標代替率(70%)を使うと、退職後の生活費総額は

「退職後年収(=退職直前年収×70%)✕ 退職後の生活年数」

となります。