投資リターン計測法:運用効率が分かる「シャープレシオ」をわかりやすく解説

株価の振れ幅を勘案してリターンを計測する「シャープレシオ」とは

同じプラス15%のリターンを計上したトヨタとソニーですが、この株価の振れ幅という観点を入れると、景色は違って見えます。話を簡略化するため、両株価の年間平均振れ幅(率)をそれぞれ10%と30%とします。

そうすると、トヨタ株価は年間10%の振れ幅に対して15%のリターンとなりますが、ソニーはトヨタの3倍にあたる年間30%の振れ幅に対して15%のリターンです。

そうすると、リターンの結果は同じでも、振れ幅に対するリターンは異なってきます。トヨタは振れ幅対比1.5倍のリターン(15% ÷ 10%)、ソニーは0.5倍のリターン(15% ÷ 30%)となります。

言い方を変えれば、労少なくして15%のリターンを得られたのがトヨタ、労多くして同じ15%のリターンを得たのがソニーということになります。

同じリターンなら株価の振れ幅が小さい方が効率的ですし、心理的にも負担が少なくなります。振れ幅がゼロ%で年間リターンがプラス15%である定期預金があったと想像してください。もしあるなら誰も株式なんて買いませんよね。

このように、投資対象資産価格の振れ幅対比のリターンのことを「シャープレシオ」といいます。ちなみに、シャープレシオ(Sharp’s ratio)は、1990年にノーベル経済学賞を受賞しこの計数を生み出したウィリアム・シャープ博士の名前に由来します。

シャープレシオ = 投資対象資産のリターン(収益率)÷ 投資対象資産価格の振れ幅(標準偏差)

これがシャープレシオの計算式です。簡易な計算式ですが、株価や投資信託の基準価額のリターンを横並びで判断する際の一つのモノサシとしてとてもわかりやすい指標です。

上がった下がったもいいのですが、上がり方や下がり方も観察しておくのが賢明な投資家と言えるでしょう。ぜひ使ってみてください。

筆者注:上記では個別銘柄を記載していますが、本稿を分かりやすくするための事例です。銘柄の推奨ではありません。本来、シャープレシオを計算する際は無リスク資産のリターンを控除して分子を計算しますが、実質的に短期国債のような無リスク資産はゼロ金利であることと、数式の理解を分かりやすくするため割愛しています。

<<これまでの記事はこちらから>>

太田 創(一般社団法人日本つみたて投資協会 代表理事)

参考記事

ニュースレター

メールアドレスをご登録いただくと、毎朝LIMOの更新情報をお届けいたします。
太田 創
  • 太田 創
  • 一般社団法人日本つみたて投資協会
  • 代表理事

関西学院大学卒。1985年、三菱銀行入行。1988年より約10年間、ロンドンおよびサンパウロで資金為替・デリバティブ等の運用、投資信託の管理業務に携わる。
その後、2000年からシティグループ(米)、UBS(スイス)、フィデリティ(米)、GCIにおいて投資信託のマーケティング・商品企画を統括。現在は一般社団法人日本つみたて投資協会・代表理事。
主要な著書には、『ETF投資入門 』(日経BP 2008年)、『お金持ち入門』(実業之日本社 2015年 共著)、『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』(かんき出版 2019年)などがある。