「こんな情勢だからこそ、家族の時間を大切にしようって。毎日7時には夕食をみんなで囲もうって言いだして…。その気持ちもわかりますが、私の仕事量は日によってばらつきがあり、難しいこともあります。夫は一切、料理を手伝わないですし。7時に食べられるように準備しないといけないのでキツイです。ごはんが用意されている状況で食卓につけばいいだけの夫に苛立ちます。」
美恵さんのように今、「母親」「妻」「社会人」という、自分に与えられすぎているたくさんの役割に苦しんでいる方は多いはず。同居している場合は「嫁」や「姑」といった役割も加わり、さらに多忙な状況に置かれてしまうこともあります。命の危機を身近に感じる今、家族の時間を大切にすることは決して悪いことはありませんが、それによって各々のライフスタイルに苦しみや不自由さが生じてしまうのならば、本末転倒。共に過ごす時間が長くなっているからこそ、お互いの仕事の状況を伝え合い、家事や子育てをどう分担するかを話し合う。それはコロナ離婚を防ぐだけでなく、夫婦の絆を深めるためにも大切なことだと言えます。
爆発されて初めて知った「妻の苦しみ」
「正直、コロナ離婚なんて自分たちには無縁だろうって思ってました。僕の中では、僕らは夫婦円満だって思ってた。」そう語る岡田晃さん(仮名)は妻・よし子さんの爆発を目の当たりにし、夫婦関係を見つめ直したと言います。
岡田さん夫婦は共にデザイン関係の仕事をしており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延しはじめた頃からテレワークをするようになりました。「妻は日頃から僕によくしてくれて。いつしか、それが僕の中で当たり前になっていたことに今回、初めて気づかされました。」
3年前に結婚して以来、晃さんはこれまで家庭のことや身の回りのことなどはすべてよし子さんに任せてきたそう。テレワーク中も、ごく自然に自分の願望をよし子さんに伝えていました。休憩したいからコーヒーを飲みたい。目が疲れたから目薬を持ってきてほしい。お腹がすいたからご飯にしよう。そんな要求を口にし続けた結果、よし子さんの堪忍袋の緒が切れたのです。