新型コロナウイルス感染拡大によりすっかり我々の生活は一変してしまった。いまは目先のことで頭がいっぱいの方も多いかと思う。その一方で、昨年の今頃世間は何の話題で騒いでいたか覚えている方はどれだけいるだろうか。

そう「老後2000万円問題」である。昨年6月のことであるので、もうすぐ1年といえる。当時は国内中で相当に騒いだのだが、果たしてあの問題に対して自分の考えを持っている人はどれだけいるであろうか。

今回は老後2000万円問題をあらためて振り返り、何をどうすればよいかを考えたい。

老後2000万円問題の前提を振り返る 

そもそも「老後2000万円問題」はなんであったか、あらためて振り返ってみよう。

金融庁ワーキング・グループの報告書に出てきた高齢夫婦世帯をモデルケースに老後の必要な生活資金を試算したものであった。

高齢夫婦とはサラリーマン65歳以上のご主人と専業主婦60歳以上の妻のみの無職世帯である。

その世帯の収支をみてみよう。収入は20万9198円でその多くは社会保障給付金、つまり年金が占める。

一方、支出は26万3718円。その中で最も占めているのは食費で6万4444円、他に光熱・水道費等が続く。

これらをネットすると、毎月の収支は約5.5万円の赤字となっている。

これを年間に直すと約66万円となり、仮に老後が30年間と捉えると66万円×30年なので2000万円弱が足りないということになる。これが2,000万円の算出根拠である。

4人に1人が95歳まで生きる

2000万円問題の話をすると、私は長生きしないと自身たっぷりに話す方も少なくない。

しかし、残念ながらこの報告書には老後30年間の根拠があるのだ。