「英EU離脱ショック」によるパニックからは落ち着きを取り戻す
2016年7月1日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より106円56銭の15,682円48銭となりました。
先週末の24日は、英国の欧州連合(EU)離脱決定を受け、世界の金融市場は大荒れとなりました。ただし、各国の中央銀行が相次いで、流動性対策への備えがあることなどをコメントすると、投資家の間に、金融緩和などをはじめとする景気下支えの動きが世界的に進むのではないかいう期待が広がり、株式などが買い戻されました。
特に米国では、ダウ工業株30種平均が4日続伸し、ほぼ英離脱決定以前の水準にまで戻りました。欧州やアジアの株式市場も反発しています。日経平均も24日には年初来最安値を更新するほど大きく売り込まれましたが、今週は5日続伸でした。
ただし、戻りの勢いは米国ほどではありません。24日の日経平均の下落幅は約1,286円で、それに対する今週の戻りは約730円でした。半値戻しと3分の2戻しの間といったところです。
来週以降の動きはどうなるでしょうか。いわゆる「英EU離脱ショック」によるパニックからは落ち着きを取り戻しつつあるとはいえ、依然として楽観はできない状況です。
懸念されるのはやはり為替相場の動向です。24日に、円は一時、1ドル=99円台にまで急騰しました。
麻生太郎財務相は、為替市場の急激な変動は望ましくないとし、必要に応じて対応を行うと表明しました。ただ、米国などは為替介入に対して慎重で、実際に介入を行うのは容易ではありません。
現在は、1ドル=102円台となっています。英国民投票が行われる前は1ドル=105円前後でしたから、円高傾向が続いています。
米国では来週、注目度の高い経済指標が複数発表されます。特に8日には米雇用統計が発表されます。結果しだいでは為替相場に大きな影響があります。このまま1ドル=100円に近い水準が続くのか、さらには再度100円割れとなるのか、目を離せないところです。
年初来最安値で下げ止まって反発、全般的に堅調な動き
今週の動きをテクニカル面から見てみましょう。先週は週初に、窓を開けた陽線で始まると、その後も陽線が続きました。一時、2月12日の安値(14,865円)を更新しましたが、そこで下げ止まり、反発した形です。
直近の上値のめどである6月16日の安値(15,395円)のあたりでは若干もみ合いも見られましたが、そこを超えると、もう一段上昇しました。全般的に堅調な動きでした。
「離脱ショック」直前の価格を目指して、戻りを試す展開か
今週5日続伸したことから、来週は若干の押しがあるかもしれません。その場合はまず、前述した6月16日の安値(15,395円)でサポートされるかどうか確認したいところです。ここでサポートされないと、再度、6月24日の安値(14,864円)まで下がってしまう可能性もあります。
現状は、6月16日の安値あたりまで押しが入り、そこから反発という動きになりやすい形です。その場合の上値のめどはもちろん、「離脱ショック」直前の高値(16,389円)となりますが、切りのよい16,000円前後も意識されやすいでしょう。
また、6月24日の下落により、5月31日の高値(17,251円)と、6月24日の高値(16,389円)の高値を結ぶ、下降トレンドラインが形成されました。来週には、この下降トレンドラインと35日移動平均線、ローソク足の実体が、15,000円台後半で重なります。
ここを上抜けるようであれば、さらなる上昇も期待できます。ただし、商いが薄い状況が続いていくことから、このあたりで頭を抑えられ、しばらく保ち合いになることも考えられます。
下原 一晃