金融緩和がインフレを加速するかも

金融を緩和すればインフレになる、という学説がある一方で、これだけ緩和してもインフレになっていない、という現実があります。

筆者の理解は、金融緩和はインフレの原因とはならないが、インフレが起きた時にそれを加速する要因にはなり得る、というものです。

これまでは、インフレの火種がなかったので、燃料だけ十分にあったけれども温度が上がらなかった、というだけで、上記のような火種ができると燃料に点火してインフレが加速するかもしれません。

人々が「インフレが来そうだから、買い急ぎをしよう」と考えた時に、世の中に十分な資金がある場合の方が世の中の資金が乏しい場合よりも買い急ぎが容易でしょうから。

深刻な不況の時にインフレになると、災難としか言いようがありません。インフレ対策と景気対策の板挟みに遭うからです。本稿はリスクシナリオです。実現しないことを祈りながら、筆を置くこととします。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

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塚崎 公義