キュレーターから読者に伝えたいポイント
今週は英EU離脱ショックの話題一色でしたが、英国とEUの関係が今後どうなるのかは誰も正確には予測できません。はっきりしていることは、結論が出るまでには相当な時間を要するということだけです。
また、投票結果直後の金融市場は一時的に大荒れとなったものの、リーマンショック後のような世界的な信用不安には至っていないという現実も直視すべきでしょう。そうしたことを踏まえて、以下の記事から今後の相場について考えていきましょう。
ブラジル通貨は英国ショック後も安定
6月24日の英国民投票の結果を受けて、英ポンドやユーロが対ドルで大きく売られましたが、パニックが新興国市場に広がることはありませんでした。
具体的には、6月28日にブラジル中央銀行が発表した四半期物価報告書が、タカ派的(金融引き締めを選好する傾向)であったとことを受けて、ブラジル通貨レアルが対ドルで上昇しています。この記事によると、こうした冷静な動きはブラジルだけではないようです。インドネシアでも28日にアムネスティ(租税特赦)法が可決、歳入増加の期待が高まったことを受けて、インドネシア通貨ルピアが上昇したことも指摘されています。
こうした動きを見ても、今回の英国ショックは世界的な経済危機となったリーマンショックほどの甚大なものではなかったことが伺えます。
ブラジル、タカが物価報告書、されど
出所:ピクテ投信投資顧問
マザーズの好調は続くか?
世界の金融市場も英国民投票後に大波乱となりましたが、その翌週の東証マザーズ指数は、6月29日にはショック前日の23日終値を上回る水準で引けています。TOPIXや日経平均がまだ半値戻し程度に留まっているのとは対照的な値動きであるのを見る限り、内需関連が多いマザーズにとっても、英国ショックは“取るに足らぬ出来事”であったようです。
その背景について冷静に考えてみると、英国ショックによる業績への影響は、当面は輸出関連企業の円高影響や欧州地域の景気減速リスクに限られることが主な理由と考えられます。それに加えて、この記事にあるように、いよいよ7月19日にマザーズ指数に先物市場が登場することも関連性があるのかもしれません。
もちろん、先物市場の導入と足元のマザーズの堅調さに関連性があるかは確かめようがありませんが、いずれにせよ、マザーズ指数に先物が導入されることにより、マザーズ指数の認知や流動性の向上というメリットが期待できますので、歓迎すべき動きと捉えてよいと思います。
いよいよ東証マザーズ指数先物が取引開始。市場はどう変わる?
出所:投信1
米大統領選で買われるセクターは?
2016年における今後の注目イベントは、何と言っても11月に行われる米大統領選の行方です。英国国民投票での経験を教訓に、結果がどちらに転んでも大丈夫なように前もって頭の体操をしておくことが大切です。
民主党のヒラリー・クリントン氏は、基本的にはオバマ大統領の政策を継承していくと見られ、これはエネルギー政策についても同様です。一方、共和党のドナルド・トランプ氏は、さらなる化石燃料の生産拡大と規制緩和を目指す方針を示しています。このため、この記事によると、トランプ氏が勝利した場合の方が、公益企業(電力会社等)にとってはプラスになる可能性が高いとのことです。
トランプ氏が好きか嫌いかは別として、株式市場にとっては同氏が勝利することは、少なくとも悪いことばかりではないようです。
米国大統領選挙で占う公益企業
出所:ピクテ投信投資顧問
短期的にはLINE関連に注目
市場は落ち着きを取り戻しつつあることは確かですが、日米の金融政策の方向性が定まらないことや、頼みのアベノミクスの成長戦略にもこれといった目玉が見当たらないため、当面は方向感が定まらない市場環境が続く可能性も否定できません。
そうした中で、短期的に注目したいのが7月15日に予定されているLINEの上場です。LINE本体も興味深い銘柄ですが、この記事にあるように関連銘柄が多数あるため、そうした銘柄についても丹念に吟味したいものです。
LINEとLINE関連
出所:楽天証券
LIMO編集部