国民年金被保険者の所得金額は?

第1号被保険者の属する世帯の総所得金額は、平均が446万円中位数(中央値)が268万円となっています。もっとも多いのは「100万円未満」で25.1%、そのうち11.2%は所得がありません。

この「100万円未満」世帯の納付状況をみてみると、(この割合は、それぞれ「納付者」「1号期間滞納者」「申請全額免除者」「学生納付特例者」「納付猶予者」を100%とした場合の割合です)

納付者:16.1%(完納者:16.1%、一部納付者:16.1%)
1号期間滞納者:26.6%
申請全額免除者:64.8%
学生納付特例者:12.8%
納付猶予者:7.6%

となっています。「申請全額免除者」の6割以上が総所得「100万円未満」となっているようです。

また、第1号被保険者本人の総所得金額となると、さらに下がります。平均は113万円中位数(中央値)は31万円となります。

もっとも多い所得は「50万円未満」(56.8%)です。そのうち37.9%が所得なしとなっています。
所得が「50万円未満」の層の保険料納付状況は以下の通りです。(この割合は、それぞれ「納付者」「1号期間滞納者」「申請全額免除者」「学生納付特例者」「納付猶予者」を100%とした場合の割合です)

納付者:43.9%(完納者:45.3%、一部納付者:38.9%)
1号期間滞納者:45.6%
申請全額免除者:75.0%
学生納付特例者:96.3%
納付猶予者:82.0%

「学生納付特例者」が多くなっていますね。「納付猶予者」の8割以上は総所得「50万円未満」のようです。

まとめにかえて

国民年金第1号被保険者は「無職」がもっとも多いようです。それでも、そのうち3割は完納者です。負担者が誰なのかはっきりとは分かりませんが、自分で支払う以外に、父母や配偶者などの周囲の援助もありそうです。ただ、「申請全額免除者」も2割弱いるので、生活困窮者も一定数存在しているといえます。また「第1号期間滞納者」も1割強います。

また第1号被保険者本人の総所得金額の中央値が31万円というのも、驚きの数値だと思います。総所得50万円未満の層は、「申請全額免除者」がとても多いです。2015~2016年度の納付対象月の保険料をすべて納付した「完納者」は全体の37%ほど。それでも、厚生年金保険の被保険者も含めれば、完納者は90%近くなると想像します。次回では、厚生年金保険の被保険者の実態について考察します。

【参考】
第1号被保険者」日本年金機構
平成29年国民年金被保険者実態調査」厚生労働省
年金って、どれくらいの人が払ってるの?」LIMO
厚生年金や国民年金をみんな、いくらもらっているのか」LIMO
公務員と会社員の退職金、どれくらい違うの?」LIMO

尾藤 ちよ子