レビュー:英EU離脱でリスクオフ。円高で日本株(TOPIX)は大打撃だが、英国株(FT100)は週間で上昇
先週(6月20-24日)の主要国の株式市場は、週前半に英国のEU離脱の可能性が低いという楽観論が広がったため、英国国民投票の開票結果を市場はネガティブサプライズと受け止めました。この結果、週末はリスクオフ相場になり株式市場は総じて軟調に終わりました。
先週はイエレン米連邦準備理事会議長が議会証言を行い、日本では参議院選挙が公示され、またソフトバンクのニケシュ・アローラ副社長の突然の退任、インド中銀のラグラム・ラジャン総裁の退任など重要なニュースに溢れていましたが、英国問題でかき消されました。
それだけインパクトのあるイベントでしたが、楽観論からネガティブ反応になったという経緯を踏まえると、週次の市場の動きを見たほうが良いと思います。すると実は株価は現地通貨ベースではまちまちだったことがわかります。
実際、英国(FT100)は対前週末比+2%上昇し、週間ではトップパフォーマーでした。ブラジル株(ボベスパ)なども上昇しています。主要市場はおおむね下落していますが、ドイツ(DAX)、米国(S&P500)、中国(上海総合)はそれぞれ同▲1%、▲2%、▲1%の下げにとどまっています。
一方、下げが厳しかったのは円高が直撃した日本株(TOPIX)やイタリア(FTSE MIB)などで同▲4%、▲7%となりました。日本株は着々と年初来のワーストパフォーマーのポジションを固めつつあります。
また、この週はドイツの10年国債の利回りがマイナスになったと記憶される週にもなりました。
アウトルック:英EU離脱ショックの広がりと主要国の政策協調が試される1週間に
今週(6月27-7月1日)は、英EU離脱ショックの広がりと主要国の為替などでの政策協調をにらむ展開になりそうです。
まずは、26日のスペイン総選挙がEU離脱の遠心力を強める結果になるのかが注目です。その他、EU首脳会議、イエレン米連邦準備理事会議長とドラギ欧州中央銀行の発言、米国の5月の個人消費支出、日本の日銀短観などが注目されるでしょう。
先週の市場の動きの中かで気になったのは、イタリア・スペインなどの南欧の国債利回りの上昇、人民元の軟調な動き、そして急速な円高に手をこまねいた日銀の対応です。2週間後に米国雇用統計の発表が控えており、これが強めの数字になると米国の利上げ観測が息を吹き替えす可能性もあります。
リスクオフ色が強まる中での米国の利上げは混乱を深める危険性がありますので、まずは通貨の変動を抑制するような国際的な政策協調が早急に決められるべきでしょう。
LIMO編集部