シリーズでお伝えしている「注目小売店月次実績」。今回は牛丼チェーン店「吉野家」他を運営する吉野家HD(9861)の2020年3月の月次動向及び過去実績、また過去1年の株価動向について振り返ってみましょう。
直近の月次実績
2020年4月に更新された吉野家HDの2020年3月既存店売上高は、対前年同月比98.2%。内訳は客数100.1%、客単価98.0%と、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が本格化する中で、客数の維持はできたものの客単価が落ち込んだ結果、マイナス成長となりました。
一方、全店売上高は100.0%と横ばいです。また、客数102.1%、客単価98.0%で、この環境下での客数増を果たしています。
今期の既存店売上高の振り返り
では、同社のここまでの既存店売上高はどう推移してきたのでしょうか(同社は2月決算)。
新型コロナの影響が本格化した3月は対前年同月比でマイナス成長となり、2021年2月期はマイナス成長からのスタートとなりました。しかし前期は2月を除き(特殊要因あり)、11カ月全ての月でプラス成長が続きました。
また、全店売上高は前期全ての月でプラス成長を達成する好調ぶりを見せており、3月も対前年同月比横ばいを維持する原動力となっています。
過去1年の株価動向
最後に同社の株価動向を見ていきましょう。
同社の株価は2018年から1,600円台で底値を形成し、2019年5月より上昇を開始。その後は2020年1月に3,050円の高値に到達しました。
しかし3,050円が天井となり下落を開始し、2月後半以降の株式市場全体の下落もあり、3月には1,700円台にまで下落。その後いったん2,200円台までリバウンドしましたが再度下落し、現在は2,000円前後での攻防となっています。
3月は新型コロナウイルスの影響が本格化しましたが、同社は対前年同月比で既存店98.2%、全店100.0%とギリギリ踏みとどまっている状態です。より厳しくなる環境で、4月以降どこまで数字を維持できるのかが注目されます。
参考資料:吉野家月次推移(2020年度)、吉野家月次推移(2019年度)
LIMO編集部