漫画家の祭さんは、小明神さんとおみくじちゃんというチンチラの夫婦と一緒に生活しています。ペットショップの古株になりつつあった小明神さんを、祭さんが90%OFFで引き取り(14話参照)、家族となってからはや8年。兄貴分である大明神さんの死(22~28話参照)という悲しい出来事もありましたが、今では、おみくじちゃんをお嫁さんに迎え、相変わらず、にぎやかな日々を送っています。
ただ、チンチラの8歳というと、人間でいえば40代。チンチラの寿命は10~15年といわれていますので、老後にはまだまだ遠いものの、それでも最近は、心なしか以前に比べて寝ている時間も増えた小明神さん。祭さんも「まだまだ先だけど、そろそろ老チラ(老齢になったチンチラ)になったときのことも考えてあげないとなあ。」と思ったりもする今日この頃です。
ある日のこと。小明神さんとおみくじちゃんを散歩させながら、ふと祭さんは考えました。「小明神が家にやってきて8年…。夫婦でいえば青銅婚式。夫婦じゃないけど、小明神って私のことをよくわかってきているよね。」
例えば、お散歩終了の時。普通に「ケージに帰ろう」といってもチンチラさんたちは帰ってくれないので、それぞれの名前を呼んでおやつのりんごを渡し、さりげなくケージに誘導するのが祭さんのいつもの手なのですが…。
おみくじちゃんのほうは、おやつをもらって、まんまとケージに誘導されてしまうのに対し、一方の小明神さんは、その時だけは、名前を呼ばれても知らんぷり。一見「老化が進んで聞こえないのかな?」という雰囲気ですが、長年一緒にいる祭さんにはわかります。
…これは、わざと『無視』している。