前々回と前回の記事で、資産規模別、年代別に資産配分の特徴を振り返ってみましたが、今回は資産配分そのものをどう考えているかを時系列で分析してみました。
サラリーマン1万人アンケートでは、「資産配分に関してどんな点に注意を払っていますか」という設問を2013年から継続的に行っています。選択肢は下のグラフにある通り8つを示して、投資をしているかいないかは全く関係なく、すべての方に聞いています。そのため、「特に考えていない」という方の比率が最も多くなっています。
4人に1人が定期的、ライフステージ毎に、金融環境の変化にあわせて資産配分の見直しをする
時系列の変化では、徐々に資産配分ということが注目されるようになってきたことがわかります。
「定期的に資産配分を見直している」、「自分のライフステージを参考に資産配分を見直している」、「金融市場の環境変化に合わせて資産配分の見直しを行っている」の3つを合計した比率は、2013年の18.6%から一貫して比率を上げ、2019年には24.5%に達しています。
この3つの選択肢を選んだ人は、単に資産形成をするというだけではなく、かなりしっかりした態度で資産形成に臨んでいるように思える人たちですから、この水準が4人に1人となっていることは心強い点といえるでしょう。
それに合わせて「特に考えていない」と回答した人の比率がここ数年で減っていることもわかります。
2013年の調査では44.7%が「特に考えていない」としていましたが、その比率は徐々に上昇し、2015年の調査ではほぼ半数に達しました。しかし、その後は急速に低下して、2019年の調査では36.9%と全体の3分の1までに低下しています。
投資をしている人の半数が資産配分の見直しを行っている
ちなみに、2019年の結果を、投資している人と投資をしていない人で分けて、前述の3つの回答を合計すると、投資をしている人の場合は48.3%、投資をしていない人の場合は10.6%でした。
投資をしている人の半数が資産配分を気にかけて実際に見直しを行っているわけですから、やはり資産配分の見直しは大切なことだということがわかります。
<<これまでの記事はこちらから>>
合同会社フィンウェル研究所代表 野尻 哲史