現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で日本全国の多くのお店において、マスクやトイレットペーパー等の紙製品が品薄になっています。
これらの製品が買われている理由は、「これから紙製品の製造・流通がストップする」「店頭で品薄になり手に入らなくなる」というような情報が流れ、またその情報を信頼した人が多かったからでしょう。しかし、トイレットペーパー等の製造業者は、新型コロナウイルスの影響で製造がストップすることはないと明言しているのです。
このように、インターネットで多くの情報を手に入れられる現代においては、私たちは「どの情報が正しいのか」ではなく、「どの情報を信頼している人が多いか」という判断基準で情報を取捨選択してしまう傾向にあります。それもそのはず、行動経済学では判断材料が複雑になればなるほど、人は物事を正しく判断できなくなるとされているのです。
情報が錯綜する現代では、物事を判断する基準は「どの情報を信頼している人が多いか」になっており、言い換えると「自分以外のみんなはどのように考えているのか」という同調性を重視しているとも言えるでしょう。
そこで今回は、私たちがどのくらいの同調性を持っているのかについて、3つの実験をもとに紹介していきます。
同調性に関する実験:その1
1つ目は、心理学者ソロモン・アッシュ氏が1951年に行った同調性に関する実験です。
この実験は、7~9人のグループに「これと同じ長さの線を選んでください」と言って1本の線を見せ、3本の線の中から同じものを選んでもらうというものです。