また、田舎だったためベビーシッターや保育施設を気軽に利用できず、筆者は幼稚園では18時まで居残り保育をしていました。ときには仕事で両親がおらず、きょうだい3人と祖母だけで夕食を食べることも。

土日に親が仕事で忙しいときには、親せきの家に預けられることもありました。「子どもを預かってもらうのだから」と、特に母は姑である祖母や親せきには神経質になるほど気を配り、人間関係を良好に継続するよう努めていたそうです。

幼稚園の居残り保育で感じた喜び

両親の仕事の都合でいろいろな場所に預けられていた筆者でしたが、不思議なことに「寂しい」という思いを抱いたことはほとんどありません。なぜなら、預けられた先で学んだことや楽しかったことがとても多かったからです。

まず、居残り保育では年少組から年長組まですべての園児が同じクラスとして一緒に数時間を過ごすことになっていました。そのため、クラス分けされている通常の幼稚園生活ではあまり経験できない、年齢の違うお友達との密な交流がありました。

末っ子だった筆者は、居残り保育によって初めて年下のお友達に何かを教えたり慈しんだりする機会を得られ、とても新鮮で嬉しかったことを覚えています。

また、通常の園児は園バスで家まで帰るところを、居残り保育の園児は親のお迎えで帰宅することになっていたので、「親が幼稚園まで迎えに来る」というのも特別な喜びでした。

帰宅するまで車に乗っているのはたった10分程度でしたが、すでに小学校に上がっている姉たちはおらず、母もしくは父と2人きりになる貴重な時間です。後から両親に聞くと、当時の筆者は、その日にあった幼稚園での出来事をニコニコしながらずっと喋っていたそうです。