株式市場の振り返り-日銀の金融政策維持を受けて大幅反落、新興市場は再び急落

2016年6月16日(木)の東京株式市場は大幅反落となりました。日経平均株価は前日比▲3.1%の下落、TOPIXも▲2.8%の下落で引けています。一方、新興株式市場の東証マザーズ総合指数は▲7.1%下落して、今週2回目の急落となりました。

日経平均株価は、前日比▲48円安で寄り付いた後、▲6円安まで戻しました。しかし、その後は円高が進んだこと等から売りが優勢となります。日銀が金融政策の維持を決定した後場は、下げ幅を一気に広めて一時▲523円安まで下落しました。最後はやや切り返しましたが、焼け石に水でした。大引けは▲485円安の15,434円で終わっています。

東証1部で上昇したのは僅かに57銘柄しかなく、値下がりは1,883銘柄、変わらず18銘柄でした。値下がり銘柄の比率は96%超となりました。東証1部の出来高は22億924万株、売買代金は2兆1,355億円(概算)となっています。出来高が膨らんだことから、投げ売りや損切りが多く発生したと推測されます。

セクター動向と主要銘柄の動き-全業種が下落。ほぼ全面安の中、銀行株が相対的に堅調

東証1部では33業種全てが下落しました。その中でも、輸送機器や精密機器などの輸出関連セクター、不動産セクター、素材セクターなどの売られ方が厳しかったようです。下落率が相対的に小さかったのは、銀行、電力・ガスなど一部に限られました。

個別銘柄では、日東電工(6988)が急落し、富士重工(7270)、コマツ(6301)、住友不動産(8830)、アルプス電気(6770)なども大幅下落となりました。上昇した銘柄を探すのが難しい中、りそなホールディングス(8308)が小幅上昇したのが目を引きました。

本日(6月17日)の注目点-金融政治イベントは全て不発に終わり、個別企業へ焦点が移り始める

日銀の金融政策維持は既定路線でしたが、大きな失望感を与えました。今回も黒田総裁は「必要ならば量・質・金利の3つの次元で躊躇なく追加緩和する」と発言しましたが、虚しさだけが残りました。追加緩和ではなく、「躊躇なく現状維持する」の間違いではないでしょうか。これで当面は、金融や政策のイベントがありません。英国のEU離脱問題で騒ぐとは思いますが、目先の期待材料はなくなったとみていいでしょう。

そのような状況の下、17日(金)からは個別企業の業績に焦点が移る可能性があります。円高や消費不振など厳しい環境下において、着実に業績を伸ばす企業に注目したいところです。業種を問わず、相対的に好調な業績を維持しながらも、売られ過ぎ感が強い銘柄を拾いましょう。

 

青山 諭志