2016年5月の訪日外客数は対前年同月比で+15%増
日本政府観光局(JNTO)の発表によれば、2016年5月の訪日外客数は対前年同月比で+15%増の189万人と、引き続き高い伸びを示しています。成長戦略の一翼を担うインバウンドですが、この数字を見るとまだまだ期待ができそうです。
国・地域別では中国が最大で51万人、同+31%増となっています。次いで台湾が38万人の同+11%増、韓国が30万人で同▲4%減でした。やはり中国からの渡航者の伸びの寄与が大きいようです。
訪日外客数の増加ペースは鈍化。背景には円高、株安も
ちなみに、2016年1-5月の累計では、全体が同+29%増となる中、中国が同+45%増となっています。ただ、実は年明け以降、月を追って増加率は低下基調にあります。
熊本地震の発生前から鈍化傾向にありますので、この要因はもっと他にありそうです。たとえば中国からの訪日人数の伸び率は、中国の株価水準に関連があると言われますし、足元の対円の人民元相場も、1年前と比較すると+10~15%程度円高になっています。
爆買いは一服か
これまでインバウンド消費の象徴だった百貨店の売上も、特に2016年4月以降変調しています。たとえば三越伊勢丹ホールディングスの月次売上によれば、2016年3月までは対前年同月比プラスで推移していましたが、4月以降マイナスに転じているとあります。
化粧品などは好調を維持しているようですが、単価の高い宝飾時計などが減少している模様です。中国の関税引き上げが効いている可能性が高いようです。
お金の使い道が変わっているのかも
仮に、1人当たりの訪日予算が母国通貨建てで一定だとしましょう。訪日客数が対前年同月比+15%増、これに対して円高が対前年同月比15%程度進行とすると、日本での消費額に大きな変化は出ないはずです。
百貨店の足元の売上高の変調は、いかに高額品の爆買いが強烈だったのかを示していますが、これもいずれ落ち着くと思われます。訪日客数が伸びること、あるいは延べ滞在日数が伸びる限りはまだまだインバウンドに期待できそうです。
とはいえ、高額品中心のお土産・転売需要だけでは限界があるでしょう。滞在日数を伸ばし、モノにもコトにも消費を促す体制整備が求められそうです。
LIMO編集部