また、4〜7歳で養子になった場合でも、7、8カ月もすると新しい母親に対して心理的安全を持てるようになった、という報告もあります。
ここからは、子どもが安心できる対象は血のつながった母親に限らないということがわかります。産みの親より育ての親、ということわざにも見られる通りですね。
2. 愛着を感じる対象は母親だけ?
では、血のつながりのあるなしに関わらず、子どもが安心できるのは母親に対してだけなのでしょうか?
欧州で700人の子ども(平均年齢は29.6カ月、約2歳半)を対象に行われた実験では、保育士に対しては50%の子どもが、母親に対しては60%の子どもが安定した愛着を示していると報告されています。
ここでは、保育士になついている子どもは母親に対して愛着を示さない、あるいは、母親にべったりの子どもは保育士に愛着を示さないなど、どちらかにしか心理的安全を感じないという結果は出ていません。
むしろ、子どもは母親への愛着とは無関係に、保育士にも愛着を向けていることもわかっています。つまり子どもは母親だけではなく、保育士など他の大人に対しても、一緒にいて安心と感じられるということです。