政策的なイベントを前に投資家が積極的な投資を控える
2016年6月10日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より67円05銭安の16,601円36銭となりました。続落です。
前日の米国の株安やニューヨーク市場で原油価格が下落したことなどから、投資家にリスクを避ける動きが広がりました。一時は16,000円を下回る場面もありましたが、大引けでは下げ渋りました。
ここ数週、方向感が見えにくい展開が続いています。来週には、米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀金融政策決定会合も予定されています。また、英国では6月23日に、欧州連合(EU)からの離脱の賛否を問う国民投票が行われます。政策を見極めたいと考え、投資家は積極的な投資を控えているようです。
商いも薄くなっています。10日こそ、株価指数先物・オプションの特別清算指数(SQ)算出に伴う売買により、東証1部の売買代金は概算で2兆4548億円と2兆円台に乗せたものの、それ以外は2兆円割れの日が続いています。
来週以降の見通しですが、前述した政策結果を見極めるまでは、判断が難しいところです。また、引き続き、円高傾向に動きやすく、注意が必要です。
6月3日には米雇用統計が発表されましたが、市場の予想を大きく下回りました。当初、米国は6月には利上げを行う見込みでしたが、その可能性が後退しました。さらに7月の利上げも見送られるのではないかと見られています。
雇用統計の結果を受けて、円相場は一時、1ドル=106円台にまで急伸しました。10日は後場で107円台に戻したことから株価も下げ渋りましたが、ニューヨーク外為市場では再び106円台まで上昇しています。週明けの株式相場の動きに注意したいところです。
現状はなかなか円を売ってドルを買うといった材料がありません。むしろ円高方向に振れやすいところです。なかなか方向感が出にくく動きづらい一方で、為替相場に左右される神経質な展開が続きそうです。
移動平均線が収束し、方向感がつかみづらい状況
今週の動きをテクニカル面から見ると、6月6日に窓を開け下落して始まったものの、陽線でその下落分を戻しました。
その動きを受けた7日、8日と堅調で、とくに8日は16,830円の高値引けとなりましたが、9日、10日ではその分も下がってしまいました。けっきょく、先週末終値付近まで戻りました。
1週間の値幅が40円程度と小さくなっています。25日移動平均線、75日移動平均線が収束し、ローソク足の実体が、これらをはさんで小刻みに上下しています。方向感をつかみづらい状況でした。
三角保ち合いを抜けた後の展開に注目したいところ
現状は、4月25日の高値(17,613円)と、5月31日の高値(17,251円)を結んだライン(上値)と、4月8日の安値(15,471円)を結ぶトレンドライン(下値)のラインの間で三角保ち合いの形になっています。
今後、日米の政策決定会合や英国の国民投票などの結果を受けて、どちらに振れるのか注目したいところです。
下に抜けた場合、下値のめどとしては5月2日の安値(15,975円)となります。さらに、長らく下値支持線となっていたトレンドラインを抜けると、4月8日の安値(15,471円)までするすると下がってしまう可能性もあります。
逆に、保ち合いを上抜けた場合、上値のめどは5月31日の高値(17,251円)となります。
いずれにしても、16,000円、17,000円はともに、過去に持ち合ったところであり、下値、上値のめどとして意識されそうです。しばらくは、この間でレンジ的な動きが続くことも考えられます。
下原 一晃