昨年までとは異なる次元の深刻さ
なお、「働き方改革」や生産性向上、また政府による新型コロナウイルス感染症対策の基本方針にも唄われている「テレワーク」などは、生きるか死ぬかの土壇場にいる中小・零細企業にとっては、あまり現実的な選択肢ではないかもしれません。
また、中小IT企業などではバーチャルなワークスペースを活用して事務所家賃といった固定費を削減し、究極の固定費最小化を目指すことがあるかもしれません。しかし、多くの普通の中小・零細企業では、人員削減・リストラ、また、中長期的に勝算がなければ廃業、事業売却なども視野に入ってくるでしょう。
皮肉なことに、ちょうど今年から、日本の中小・零細企業向け金融支援の枠組みが変容しており、財政難に苦慮する日本政府からの金融支援も一時的なものになる心配もあります。
今回、突発的に新型コロナウイルスの悪影響に見舞われている中小・零細企業の経営者は、昨年までとは異なる次元の深刻さで危機管理や営業戦略を練り直さなくてはいけないのかもしれません。
大場 由幸
執筆者
SME Financial Architect x Fintech x Frontier Markets
新潟大学法学部卒業、フィンランドAalto大学 Executive MBA取得、英国オックスフォード大学 Fintech課程修了、米国マサチューセッツ工科大学 AI課程修了。中小企業金融公庫(神戸、宇都宮、東京)、在ベトナム日本国大使館(ハノイ)、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(東京)、東京中小企業投資育成(東京)を経て、2008年4月、クロスボーダー・ジャパン(株)代表取締役社長(東京&シンガポール)に就任。日系中堅・ベンチャー企業のアジア戦略・財務を支援する傍ら、新興アジア諸国にて多数のSME金融関連プロジェクトに従事し、マレーシア信用保証公社 JICAアドバイザー(クアラルンプール)、ベトナム信用情報センター 世界銀行コンサルタント(ハノイ)、インドネシア経済調整庁 MSME金融包摂アドバイザー(ジャカルタ)、ミャンマー経済銀行 SMEファンド助言チームリーダー(ネピドー&ヤンゴン)等を歴任。現在、エンジェル投資家/アドバイザーとして複数のフィンテック企業(ロンドン、ニューヨーク等)の経営に関与。ポルトガル政府公認ビジネスエンジェル(アヴェイロ拠点のエンジェル投資家団体REDangelsに所属)。APEC関係機関であるPBEC(太平洋経済委員会)メンバー。マレーシア在住、エストニア居住。