昨年までとは異なる次元の深刻さ

なお、「働き方改革」や生産性向上、また政府による新型コロナウイルス感染症対策の基本方針にも唄われている「テレワーク」などは、生きるか死ぬかの土壇場にいる中小・零細企業にとっては、あまり現実的な選択肢ではないかもしれません。

また、中小IT企業などではバーチャルなワークスペースを活用して事務所家賃といった固定費を削減し、究極の固定費最小化を目指すことがあるかもしれません。しかし、多くの普通の中小・零細企業では、人員削減・リストラ、また、中長期的に勝算がなければ廃業、事業売却なども視野に入ってくるでしょう。

皮肉なことに、ちょうど今年から、日本の中小・零細企業向け金融支援の枠組みが変容しており、財政難に苦慮する日本政府からの金融支援も一時的なものになる心配もあります。

今回、突発的に新型コロナウイルスの悪影響に見舞われている中小・零細企業の経営者は、昨年までとは異なる次元の深刻さで危機管理や営業戦略を練り直さなくてはいけないのかもしれません。

大場 由幸