また、1年延期となれば、参加各国の代表選手選考のやり直しなども含め、全ての関連スケジュールも見直す必要があります。気が遠くなるような作業になることは間違いありません。一定期間の開催延期は、簡単そうに見えて全く簡単ではないのです。

さらに、万が一、1年延期になった場合、次の開催(2024年パリ大会)を3年後に開催するのか、それとも、4年後にするのかという問題も残ります。

ただ、1カ月程度の開催先送りならば、調整する範囲も限定的となるため、ある程度は現実的だと思われます。

“商業的成功”が最大目標のIOCに開催中止の選択肢はない?

それでは、日本人が一番考えたくない開催中止の可能性はどうでしょうか?

2月26日にあるIOC委員が東京大会中止の可能性に言及したと報道され物議を醸しました。それに対し橋本聖子五輪相は、IOCから公式見解ではないとの答えを得ていると国会で説明しています。

ただ、開催中止も簡単ではないと言えましょう。というのは、東京側が開催したいことは言うに及ばずですが、IOC側にも予定通り開催したい事情があるからです。それは放映権を始めとするスポンサー収入です。

IOCは巨額のスポンサー収入に頼って五輪を運営していますが、仮に中止となれば、大幅な収入減は避けられません。少なくとも、莫大な放映権収入がなくなります。また、次回以降にも大きな影響を残すと考えられます。

“まさか”と思うかもしれませんが、IOCの最大の目的は五輪の“商業的”成功なのです。また、世界大戦以外のいかなる理由でも、開催中止となればIOCの面子丸潰れになります。世界を代表する官僚組織の1つであるIOCが、そう簡単に中止を決断するとは思えません。