そして、これを見ても分かる通り、120年を超える五輪の歴史上、世界大戦以外で開催が中止になったことは一度もありません。また、一度決定した開催地が何らかの理由で開催を返上し、代替地での開催に至ったこともないのです。
なお、冬季五輪に関しては1度だけ、1976年の開催地に決定したデンバー(米国)が開催を返上し、インスブルック(オーストリア)での代替開催となったことがあります。ただ、デンバーが開催を返上したのは1972年10月だったため、代替地開催には時間的余裕がありました(インスブルックに決定したのは1973年2月)。
東京五輪の主催者はIOC、開催に関する全ての権限を有する
ここで、最も重要なことを再確認します。それは、東京五輪の主催者はIOC(国際オリンピック委員会)であるということです。東京(日本)は、あくまでIOCから開催を委託されている形に過ぎません。
もっとハッキリ言うと、東京五輪の開催中止や延期に関する全ての権限はIOCにあるのです。これは、昨年秋にマラソン競技の開催地が有無を言わさず札幌に変更されたことで、既に多くの人に認識されていると考えられます。IOCが中止だと言えば中止、延期だと言えば延期になります。
東京がIOCの承認なしに行える権利は、83年前(1937年)のような開催権の返上のみです。しかし、この時期に開催権返上は到底あり得ない選択です。
こうした過去の事例と、IOCが全権限を有した主催者であるという現実を踏まえ、開催中止や延期の可能性を考えてみましょう。