「義父の介護を他人に任せるのはおかしいと言われ、私が面倒を見ると言わざるを得ない状況でした」
これまで必死でこなしてきた家事に加えて、認知症の義父の介護。少し目を離している間に排泄物を壁に塗りつけられ、掃除に時間を取られて食事の準備が間に合わないこともあったそう。それでも夫は「お前は要領が悪いんだ」とSさんをなじるばかりで、ヘルパーやデイケアといったサービスの利用を拒否し続けたのだとか。
時間も体も足りず、家事に手が回らないことが増えると、夫の小言は次第に罵倒に変わっていったといいます。Sさんはどんどん追い詰められてしまったのでしょう。「まるで家事ロボットのように働き続けました。睡眠時間も減って、まともに頭も働かなくなって、自分でもよく分からないうちに家を飛び出していたんです」
所持金1,000円…公園のベンチで泣き続けた夜
「あてがあって家出したわけではありません。とにかく家から離れなくちゃと思ったんです。それ以外に何も考えていませんでした。半日歩き続けて、さすがに疲れてしまい、たまたま見つけた公園で休むことにしたんです」