ようやく決まったLINEのIPO
各種メディアの報道によれば、無料対話アプリ等を運営するLINEが7月に東証1部に上場するということです。これまでも何度かIPOの噂が出ていましたが、どうやら今回は本当のようです。
韓国の親会社ネイバー(NAVER)の意向、業績のモメンタム、株式市況、今後の事業投資のニーズがうまく合致したタイミングと言えそうです。株式市場の関係者の方には「やっと」という印象の方が多いことでしょう。
株式市場はこのIPOを歓迎するだろう
電車に乗れば必ず周りにLINEをしている人を見かけるほど一般に浸透しているサービスですので、このIPOは株式市場でも広く歓迎されるのではないでしょうか。
上場によって経営の透明性が高まり、資金調達によって新たな成長機会を獲得することもできます。足元の利益や今後の成長を一般投資家とシェアできることも好ましいと言えます。一段と高い遵法性も期待できることでしょう。
想定時価総額6,000億円のイメージとは
さて、株式公開後の時価総額の想定は6,000億円程度と報道されています。これはバンダイナムコホールディングス(7832)、コナミホールディングス(9766)、あるいは京王電鉄(9008)、東武鉄道(9001)、またはエービーシー・マート(2670)、オービック(4684)、山崎製パン(2212)に匹敵する水準です。
”ちょっと評価が低くないか?”そうお考えでしたらIPOに参加してみるのも良い選択肢でしょう。”いやいや、十二分な評価だ”とお感じでしたら、株価の推移だけでも見守ってみてください。ウォーレン・バフェットなら、たぶん様子見でしょうか。
ベールを脱ぐLINEの内容でぜひ着目したい点は
さて、同社の親会社である韓国ネイバーのIR資料によると、LINEの2016年第1四半期の売上高は341億円、対前年同期比+20%増でした。ただし、対前四半期比の成長率は+5%となっています。そのため、LINEの成長力が低下したのではないかという指摘も出ています。
IPOを機に同社は開示を強化しますが、その中でユーザー数の推移、ユーザー当たりの収益の構成と推移、今後の見通しはぜひ押さえておきたいです。現在の収入は広告、スタンプ、ゲームから万遍なく稼いでいると見られますが、これが中期的にどう変化していくのかを考えたいところです。新規の株式発行による資金調達も検討されているようです。調達資金の使途も注目です。
特に、今夏開始といわれるMVNO事業、あるいはEC事業、決済事業、海外事業への投資と勝算は大変気になります。
また、IPO後の親会社の関与の行方も気になります。事業上どこまで関与するのか、IPO後しばらくのうちに株式を追加で売却するのか、大変興味深いです。
LINEがこれから展開しようとするビジネスモデルは、本来なら楽天、ヤフー、グーグルなどが展開したいビジネスのはずで、ネット関連企業からも広く関心を集めることになりそうです。
株式市場はLINEの上場を歓迎しますが、同時にLINEに対する新しいチャレンジャーの登場も歓迎しています。フィンテック企業とEC事業者の連携などの新しい展開も予想されます。これを機に市場が活性化し、消費者1人1人によりよいサービスが安価に広がることを期待したいと思います。
LIMO編集部