筆者が長く経験した外資系金融は特殊かもしれませんが、CEOから平社員まで転職やリストラは日常茶飯事、転職しないと給料は上がらず能力なしと捉えられることもあるくらいの世界です。

そこでの副業は、上司や関係者と話せば”会社に迷惑かけなければまあいいよ”くらいの感じで可能でしたし、そもそも通常業務で疲れ切っていますので給与の足しに副業をするという感覚もありませんでした。

おわりに

こうしてみると、この副業容認問題は日本企業の成長性や賃金上昇性向がいかに低く、人材の流動性も低いかということを図らずも表していると思います。杞憂に終わればそれでいいのですが、現在の副業容認トレンドが企業の賃金抑制に拍車をかけることも懸念されます。

諸待遇が良い会社でないとバイトでさえ敬遠する世の中、それでなくても企業に対するロイヤリティ(忠誠心)はどんどん下がっています。副業容認という矮小な手段ではなく、「業績上げれば給料をドン!と上げる」のが我社のポリシー、という企業が続出することを願ってやみません。

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太田 創(一般社団法人日本つみたて投資協会 代表理事)