上述の副業条件は、企業からすると当然かもしれません。会社によっては労働組合もありますから、社員の労働条件や労災に関する調整も必要です。ただ、この条件の中でやれるとすれば、残業のない部署にいて、平日夕方6時頃から9時頃まで、週末1日の副業を非ライバル企業で行うといった社員のイメージです。

はたして何人くらいの方が対象になって、そこまでして副業したい方は何%くらいいるのでしょう。加えて、この条件の中でバイト的な副業してもほとんど稼げません。これでは実際に副業する社員はごくわずかでしょう。

副業をめぐって見えてくる日本企業の根本的問題

では、なぜ企業側は副業を容認するのでしょうか。この副業容認の背景を考えると、日本の多くの企業が直面している問題に突き当たります。すなわち低成長下、企業の高成長は望めないので給料はそう簡単に上げられないという理由です。

でも社員に辞められたり、モチベーションが下がったりしては困る。したがってガチガチの条件ながら副業を認めることにしよう、給料が足りない分は他で稼いでもらっていいからね、という示唆です。

筆者が一番引っかかった条件は「ライバル企業の仕事は禁止」というところです。まともな社員であればライバル企業でも稼げますから、副業などというセコいことを考えなくてもライバル企業に転職して給料アップを考えればいいわけです。

また、副業するにも同じ業界での経験や知識を生かせることをする方がスムーズですから、副業可能な企業や業界を縛るのはナンセンスだと思います。いろいろ条件つけて縛るくらいなら、副業禁止にしてその分給料を上げたほうが社員の定着率も上がるはずです。

加えて、その企業も業績にプラスになるのであればライバル会社から正社員であれ副業人材であれ人材を引っこ抜いてくればいいだけです。