徐々に下値を切り上げるが、商いは薄い
2016年5月27日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より62円38銭高の16,834円84銭となりました。3営業日続伸であり、ほぼ1か月ぶりの高値です。
27日に閉幕した伊勢志摩サミットでは、世界経済の下方リスクが高まっているとして、その回避に向けた構造政策を進めることが首脳宣言で合意されました。これを受けて、財政出動への期待から買われる展開になりました。
また、安倍晋三首相が、世界経済の現状についてリーマン・ショックに匹敵すると語ったことから、消費増税が再延期されるとの観測が強まり、相場が支えられました。
ただし全般的には、米国の6月の利上げを見極めたいとして、様子見の投資家が多く、薄商いとなりました。27日の東証1部の売買代金は1兆6581億円と今年最低でした。東証1部の売買代金は先週、ずっと2兆円を下回っています。
27日には、イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長がハーバード大学で講演し、「今後数か月に追加の利上げが可能になる」と利上げを示唆しました。このため、為替市場ではドルが買われる動きとなり、一時110円40銭台までのドル高・円安となりました。
来週以降の見通しですが、引き続き、米国の利上げ、為替相場、原油価格などの外部要因に振り回される神経質な展開になりそうです。
6月は米国での利上げ動向に加え、さまざまな重要な経済指標が発表されます。英国では6月23日に、欧州連合(EU)からの離脱の賛否を問う国民投票が行われます。来週には安倍首相が消費増税再延期を表明する予定です。株高で反応すると考えられますが、再延期はすでに織り込み済みとする見方も少なくありません。
前述したように、商いが非常に少ない状況になっています。特定の材料で、急に上下する可能性もあります。柔軟な対応ができるよう、ニュースなどに注意するようにしましょう。
レンジを上抜け、一段上が見えてきた
今週の動きをテクニカル面から見ると、ポイントの一つは、長く頭を抑えられていた16,800円付近を上抜けたことです。
5月11日あたりから、上値は16,800円、下値は16,400円という小さな幅で上下を繰り返していました。今週26日の高値(16,957円)、27日の高値(16,901)はいずれもそのレンジを超えています。
27日の終値は16,834円となりましたが、25日移動平均線を下回ることもありませんでした。堅調な動きといえるでしょう。
上昇トレンドのチャネル上限である18,000円台も視野に
今後の展開ですが、レンジを上抜けたことから、まずは目線を上に持ちたいところです。
先週、25日移動平均線が75日移動平均線を上抜けるゴールデンクロスが形成されましたが、今週も継続しています。
薄商いということもあって、力強さはないとはいうものの、5月上旬からしだいに下値が切り上がっています。直近では25日移動平均線に下支えされる形になっています。
大きな流れを見るために、2月12日の安値(14,865円)と、4月8日の安値(15,471円)を結ぶトレンドラインを引くと、現在は上昇トレンドのチャネル下限からの反発中であると見ることができます。
チャネルの上限は3月14日の高値(17,291円)、4月25日の高値(17,613円)を結んだラインとほぼ一致しています。このままトレンドが続くとすれば、18,000円前後でチャネルの上限と重なります。このあたりが当面の目標になるでしょう。
今週末は円安傾向で終わりました。このまま為替相場が落ち着けば、そろそろ上値を試しにいく時期ではないかとも考えられます。
来週は25日移動平均線からの反発、さらに5月26日の高値(16,957円)および17,000円の抜けを確認したいところです。この水準を抜ければ、18,000円までの上昇も可能性が高くなります。
下原 一晃